2006 Fiscal Year Annual Research Report
アザ電子環状反応を基盤とする実践的アルカロイド構築法の開発
Project/Area Number |
16073222
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70047364)
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Keywords | 6π-不斉アザ電子環状反応 / 逆旋的回転方向の制御 / ワンポット不斉合成法 / インドールアルカロイド不斉全合成 / 3カ所での立体制御 / 4ヶ所での結合形成 / 効率的な新規ビニルスタナン合成法 / 2-アリールピリジン |
Research Abstract |
本研究は、加水分解酵素阻害機構の解明から学んだ6π-アザ電子環状反応を発展させ、新たな効率よいアルカロイド合成戦略へ展開し、これを確立しようとするものである。すなわち、前年度までに速度論的支配の下に、sp^3不斉を基軸として軌道の逆旋的回転の方向を制御することにより、立体選択的不斉6π-アザ電子環状反応を実現している。本年度はこれを、(1)3置換オレフィンを含む2種類の基質、キラル窒素源、カップリング触媒の4者をワンポットで混ぜ加熱することで、熱力学的支配の下に軌道の逆旋的回転の方向を規制した結果として、2ヶ所での立体化学を制御しながら4ヶ所での結合形成を一挙に実現することに成功した。生成物はキラルピペリジン等価体であり、これから2,4,6-置換ピペリジンの不斉合成を行っている。次いで、(2)原料の1つであるビニルスタナン化合物を、ビニルビススタナンを用いて非常に効率よく供給する合成法を確立した。このように新たに開発した合成法を用いて、(3)インドールアルカロイドである7-エピデンドロプリミンの極めて効率よい不斉全合成を達成した。またさらに、(4)4置換オレフィンを原料として用いたワンポット不斉アザ電子環状反応に成功し、3ヶ所での立体化学を制御しながら4ヶ所での結合形成を一挙に行うことができた。これは嵩高いエステル基と、嵩高いキラル窒素供給源を用いた成果である。しかし、まだその一般性については今後の検証が必要であり、またコリナンテイドールの不斉全合成への適用を図りたい。一方、ワンポット合成法の展開として、(5)窒素源としてメタンスルホニル基を用い2種類の基質、カップリング触媒の4者を混ぜて加熱することにより、イミン形成、Stilleカップリング、アザ電子環状反応、アミン塩基の添加による芳香環化の4種の反応をワンポットで行った。これは2-アリールピリジンの新しい効率よいワンポット合成法である。今後この合成法を固相合成へと発展させたい。
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Research Products
(9 results)