2007 Fiscal Year Annual Research Report
アザ電子環状反応を基盤とする実践的アルカロイド構築法の開発
Project/Area Number |
16073222
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (70047364)
|
Keywords | 6π-不斉アザ電子環状反応 / ワンポット不斉合成法 / 簡便な7-イソプロピル-シス-アミノインダノール合成法 / インドールアルカロイド不斉全合成 / 3カ所での立体制御 / 4ケ所での結合形成 / 3置換ピペリジンの一般的合成法 |
Research Abstract |
本研究は、酵素阻害機構から学んだ不斉アザ電子環状反応を、多置換ピペリジンを核構造としたアルカロイド類の新たな合成戦略として確立しようとするものである。まず、(1)ワンポット不斉アザ電子環状反応を様々な基質に対して高い立体選択性で実現するためには、イソプロピル基を有した7-イソプロピルーシスーアミノインダノール(A)の簡便な供給が必要となる。2-イソプロピルフェノールを原料としナザロフ反応を鍵として、中間体の精製を極力必要としないAの合成法を確立した。次いで、(2)大量供給が可能となったキラル窒素供給源であるAを用い、前年度までに一部成功した3置換ピペリジン誘導体の高立体選択的ワンポット不斉アザ電子環状反応の一般性を検討した。その結果、様々な置換様式を持つインドール化合物も含め8例において望む結果を得、そのためにはキラル窒素供給源としてのAの必要性および基質に嵩高いt-ブチルエステルを用いることが本質的であることを発見し、その一般化に成功した。この合成法を用いて、以前に行った(-)-コリナンテイドールのより効率的全合成を完成させた。この過程において、(3)構造を一部変化させることにより、ピペリジン環状の置換基の立体化学を制御できる新たな手法を見出した。一方、(4)3置換ピペリジンを核とするインドールアルカロイド、20-エピウレインの全合成を達成した。これは、同様なワンポット反応で得られる中間体において、Aに存在する水酸基の隣接基効果を利用した定量的な1,4-付加反応の実現に基づいている。これらの一方で、(5)金属触媒によるアザ電子環状反応促進効果を検討した。これは、キラル金属触媒による不斉アザ電子環状反応開発への第一歩である。検討の結果、中間体のアザトリエンを観測できる反応系を構築できた。しかし、金属触媒による反応促進効果を認めるに到っておらず、さらに検討が必要である。
|
Research Products
(21 results)