2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物代謝産物由来の機能性天然分子の探索・創製と応用研究
Project/Area Number |
16073223
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
掛谷 秀昭 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 副主任研究員 (00270596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 信元 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 先任研究員 (90221689)
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Keywords | 微生物代謝産物 / 機能性天然分子 / 天然有機化合物 / 血管新生 / 細胞周期 / 細胞死 / 構造解析 / ケミカルバイオロジー / ケミカルデノミクス |
Research Abstract |
真核細胞において生命現象の中軸を担う血管新生、細胞死、細胞周期の素過程にはまだまだ未解明な部分が多く、これらを制御する新規天然有機化合物の探索研究の意義は大きい。本年度は、1、血管新生過程において重要な役割を担っているVEGF(血管内皮増殖因子)の機能を効果的に評価可能な系の構築、2、細胞周期を制御する物質の評価系の構築、3、細胞死(アポトーシス)を制御する物質の評価系の構築、に向けて基盤研究を行い、微生物代謝産物を探索源として探索研究を行った。 1、の系において、糸状菌が生産する新規血管新生阻害剤epoxytwinol Aを見出した(論文投稿中)。Epoxytwinol Aの分子式は、C_<20>H_<20>O_8と決定し、その化学構造は、詳細な各種NMRスペクトル解析の結果から極めてユニークなC2対称中心を有する新規ポリケチド化合物であることを明らかにした。さらに、生合成中間体2H-ピラン化合物の分子間[4+4]環化反応経路によるepoxytwinol Aの生合成経路を提唱した。Epoxytwinol Aは、VEGFによって誘導されるヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVECs)の遊走を顕著に抑制した。 一方、興味深い生理活性を示す機能性天然分子には重要な細胞内標的タンパク質が存在し、その解明が新しい化学と生物学の局面を開くことが多い。本年度は、糸状菌が生産するエポラクタエン(Epo)をリード化合物として詳細な構造活性相関研究を行った結果、より有効な類縁化合物ETB (epolactaene tertiary butyl ester)を開発することに成功した。さらに、ETB/Epoの細胞内分子標的をプロテオミクス的手法により探索した結果、Epo/ETBの結合タンパク質の1つとして分子シャペロンHsp60を同定した。
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