2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16074204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70156090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20342636)
村田 昌樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70345263)
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Keywords | 共役 / 錯体 / 電子移動 / 電子輸送 / レドックス / 分子素子 / 界面 / 空間 |
Research Abstract |
本研究では、π共役電子伝導性やレドックス伝導性を示す金属錯体分子を界面に次元制御配列することによって、内部ポテンシャル分布が外場制御できる電子機能空間をつくり、その中で特異な電子移動化学現象を発現させ、その新現象の機構解明を行うことを目的とする。 新規ジスルフィド配位子(tpyAB-S)_2、アゾベンゼン架橋テルピリジン配位子(tpyABtpy)を用いることによって、アゾ基を共役スペーサーとした錯体を電極表面上に多層配列させることを目的として、(tpyAB-S)_2修飾金電極をFe(NH_4)_2(SO_4)_2溶液、続いてtpyABtpy-CHCl_3溶液に交互に浸漬させた。その結果、このレドックス電流値および錯体の形成に基づくVISスペクトルにおけるMLCTバンドの吸収強度はこれらの操作を繰り返すことによって増加し、金単結晶表面上での段階的かつ定量的な錯形成が可能であることが示された。 また、コバルト錯体においても同様に、定量的に積層する方法を確立し,さらに、これらの方法を組み合わせることにより、鉄錯体とコバルト錯体を任意の配列でかつ任意の数だけ配列できることを示した次に、作製した一次元錯体分子鎖内の電子移動と電子輸送について検討した。Fe(tpy)_2錯体連結体のクロノアンペロメトリーで得られたi-t曲線は初期において一定電流が観測され、その後、速い減衰挙動が観測され、通常の一次元拡散の場合に適用されるCottrell式に従わない。そこで、新たな電子伝達メカニズムとして、一次元分子鎖内の伝導系として、電極と一層目の電子移動速度定数をk_1(s^<-1>)、錯体間の自己交換反応速度定数をk_2(mol cm^<-2>s^<-1>)として順次電子が鎖内をホッピングする電子移動メカニズムを考え、シミュレーションの結果、実験値と良い一致を示すことを明らかにした。
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Research Products
(3 results)