2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16074210
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 達生 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (80205468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小手川 恒 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (30372684)
金道 浩一 東京大学, 物性研究所, 教授 (20205058)
美田 佳三 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (40231617)
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 酸素分子 / 強磁場磁化過程 |
Research Abstract |
本研究ではミクロ孔をもつ配位高分子に吸着した酸素分子クラスターの磁性研究を行なっている.O_2は磁気量子数S=1をもつ磁性分子であり,分子の配列に磁気的相互作用が関与していることから,「磁場誘起再配列機構」による磁化過程の異常が予測される.これは従来研究されている低次元磁性体では見られない分子磁性体特有の新しい量子効果であり,細孔中での分子の配列によって多彩な磁気的振舞いが期待される. Cu(dhba)(bpy)のナノ細孔に吸着したO_2の磁化過程はS=1ハイゼンベルグ反強磁性モデルでは説明できないメタ磁性的振舞いを示すことがわかっている.本年度,「磁場誘起再配列」の観測を目指して46Tまでのパルス強磁場下X線回折実験を行った.メタ磁性は低温で明瞭に観測されるため,1.3Kでの測定を行ったが,残念ながら冷却過程(100K以下)で回折ピークの消失が起こり測定には成功しなかった.現時点では原因は全く不明である. 北川研究室で新たに合成されたCd(bpndc)(bpy)でのO_2吸着実験を行なった.最大吸着量はユニットセルあたり4個程度である.強磁場磁化過程では,ゼロ磁場近傍から現れる常磁性的な振る舞いと40T以上の強磁場領域で現れるメタ磁性的な振る舞いがほぼ1:1の割合で観測される.メタ磁性的な振る舞いは「磁場誘起再配列」の可能性があるが,これを明らかにするためには細孔中におけるO_2の構造決定が必要である. 現在までにCu_2(pzdc)_2(pyz)においてO_2-O_2ダイマーの形成を同定しているが,さらにO_2の配列が決定できる多孔性配位高分子の探索を行う必要がある.
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Research Products
(1 results)