2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16074212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北川 宏 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (90234244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 美穂 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (10372749)
山田 鉄兵 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (10404071)
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Keywords | 固体イオニクス / プロトン伝導 / 配位高分子 / 金属錯体 / 固体電解質 / プロトン共役レドックス / プロトニクス / 配位空間 |
Research Abstract |
直径数十ナノメートル以下の金属粒子は、構成原子数に対する表面原子数の割合が著しく増加し、エネルギーバンドが離散的になるため、バルクにはない特異な物性を示すことが知られている。Co、Fe、Niは室温で強磁性を示す金属であり、これらのナノ粒子がどのような磁気的性質のサイズ依存性を示すかは興味深い。しかしながらPdやPtなどの貴金属と比較して、これらの金属では簡便な化学的還元法により分散性の良い、粒径の均一なナノ粒子を得ることは難しい。本研究では、水溶性ポリマーであるPVPを保護剤として用いた液相における化学的還元法により、粒径10nm前後のNiナノ粒子の合成とその物性評価を行うことを目的とした。 エチレングリコールに金属原料NiCl_2と還元剤N_2H_5OHを溶解してNi-ヒドラジン錯体を作成した後、保護剤PVPと還元促進剤NaOH溶液を加え、この溶液を攪拌しながら1時間加熱・還元することで黒褐色溶液を得た。得られた試料の透過型電子顕微鏡観察から粒径と分散の確認を行い、また放射光を用いた粉末X線回折測定により粒子の同定と格子の構造変化について調べた。 TEM写真より、平均粒径10.5±0.6nmの分散性の良い粒子が得られたことが確認された。ナノ粒子のXRDパターンがバルクのfcc構造に帰属できることから、得られた試料は酸化していない純粋なNiナノ粒子であることが明らかとなった。NiとPVPの仕込み量の比や還元温度を変えることにより、ナノ粒子の分散性の制御が可能であることがわかった。また、還元温度150℃で4時間還元して作製したNiナノ粒子はhcp構造を有することがXRDパターンの解析により確認された。このhcp構造のNiナノ粒子に200℃、650Torrの水素を印加したところ、hcp構造からfcc構造への構造変化がみられた。これは、作製したNiナノ粒子が水素と何らかの相互作用を持つことを示していると考えられる。
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Research Products
(7 results)