2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子導入されたナノ機能空間の電子密度レベルでの構造
Project/Area Number |
16074220
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高田 昌樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 高田構造科学研究室, 主任研究員 (60197100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 佳基 大阪府立大学大学院, 理学係研究科物理科学専攻, 准教授 (50254371)
加藤 健一 独立行政法人理化学研究所, 高田構造科学研究室, 研究員 (90344390)
大石 泰生 (財)高輝度光科学研究センター, 利用促進部門, 主幹研究員 (20344400)
田中 宏志 島根大学, 総合理工学部物質科学科, 准教授 (10284019)
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Keywords | 多孔性配位高分子 / ガス吸着 / 放射光粉末加折法 / 精密電子密度解析 / マキシマム・エントロピー法 / 静電ポテンシャル |
Research Abstract |
本研究の目的は、世界最高性能を有するSPring-8の高輝度放射光とMEM(マキシマム・エントロピー法)/Rietveld解析による精密電子密度解析法を利用いて得た、ナノ機能空間および導入された分子についての精緻な構造情報から、電子密度レベルでナノ機能空間の気体分子吸着現象を解明し、そこで得られる知識をナノ機能空間の設計に反映させることである。これまで私たちは、多孔性配位高分子のナノ細孔に吸着された酸素、水素、アセチレンなどのガス分子の整列構造や結合状態を明らかにしてきた。 吸着分子と細孔の相互作用は静電的相互作用に寄るところが大きい。そして、電子密度分布には、吸着分子や細孔壁原子の電荷状態の情報を含んでいるはずである。静電ポテンシャルマッピングはこのような情報をより明瞭に表すことができるので、相互作用理解には大変有用である。そこで、私たちは実験から得た高精度電子密度分布を用して、静電ポテンシャルをマッピングする手法を開発した。本年度はこの手法を、多孔性配位高分子を始めとして遷移金属シアノ錯体、誘電体など様々な系に適応した。CPL-1と呼ばれる多孔性配位高分子では、空の骨格構造のナノ細孔中の静電ポテンシャルマップから、物理吸着である酸素分子はポテンシャルが相対的に低いところへ、化学吸着であるアセチレンは相対的に高いところへ吸着していることがわかった。また、吸着した水素分子が近接しているカルボン酸の酸素原子は、正に電荷を帯びていることが明瞭に示された。光誘起磁性を示す遷移金属シアノ錯体では、温度誘起磁気転移に伴うMnイオンからFe(CN)_6分子への電荷移動を可視化することに成功した。 以上のように、電子密度まで含めた構造情報と、その実験的電子密度分布に基づく静電ポテンシャルマッピングは、ゲストーホスト相互作用や電荷移動などの物性の理解に重要であり、また大変有用であることが示された。
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Research Products
(14 results)