2006 Fiscal Year Annual Research Report
マントル下降流による熱・物質輸送と地球進化過程の数値モデリング
Project/Area Number |
16075205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜野 洋三 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (90011709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 了 東京大学, 地震研究所, 教授 (00219239)
小河 正基 東京大学, 総合文化研究科, 助教授 (30194450)
岩森 光 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (80221795)
柳澤 孝寿 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (20359186)
吉田 晶樹 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (00371716)
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Keywords | マントル対流 / 地球進化 / 数値モデリング / 滞留スラブ / 沈み込み帯 / 水循環 / 地球の熱史 |
Research Abstract |
本研究は、マントル下降流の振る舞いが、全マントル規模の熱輸送過程、地球熱進化過程に与える影響、及び沈み込み帯における火成活動、熱輸送や物質循環(特に水分布)に与える影響を数値シミュレーションより明らかにすることを目的とする。本年度は、1.プレート沈み込みに伴う水輸送と島弧活動の研究では、超背弧地域における火成活動がスラブの沈み込み角度が変化する事に伴う遷移層の上昇し、融解で生じた可能性を調べた。また、地球内部での水循環を議論する上で基礎データとなる鉱物・岩石中の最大含水量について最新の高圧実験結果を含めてレビューを行い、マントルは、現実的な地温勾配を仮定した場合にも、現在の海水量の4.6から12.5倍の量の水を含みうることを示した。2.マントル対流と火山活動の2次元数値モデリングでは、太古代中期以前に期待されるような強い内部加熱のもとでは、地殻と搾りかす層を合わせた層は、厚さ150kmと現在のテクトスフェアにも匹敵するほど発達し、その組成的浮力はプレート運動やプレートの下で起こる二次的対流をかなり押さえるが、プレート運動を完全に止めるにはいたらない、ことを示唆する結果を得た。33次元球殻マントル対流モデリングでは、新しく開発した有限体積法を用いた三次元球殻マントル対流シミュレーションプログラムを用いて、沈み込みスラブによるマントル内の水平粘性率変化が長波長なダイナミックトポグラフィーやジオイド異常に及ぼす影響について調べた。密度異常モデルに関しては、上部マントルには地震活動に基づくスラブモデル、下部マントルには地震波トモグラフィーによる速度異常分布から変換したモデルを用いた。その結果、沈み込み帯近傍で観測される長波長の正のジオイド異常は、沈み込みスラブの粘性率がリソスフェアの粘性率より2桁以上程度小さく、660km相境界下に低粘性層がある場合に再現されることが分かった。
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Research Products
(6 results)