2005 Fiscal Year Annual Research Report
マントル下降流に伴う滞留スラブの形成・崩落過程の数値モデリング
Project/Area Number |
16075207
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉岡 祥一 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (20222391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 正久 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (30093272)
中久喜 伴益 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (10263667)
鈴木 厚 九州大学, 大学院数理学研究院, 助手 (60284155)
亀山 真典 海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (70344299)
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Keywords | 滞留スラブ / 数値シミュレーション / クラペイロン勾配 / 粘性率 / マントル対流 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、3次元モデル(箱型・球殻)、2次元スラブ沈み込みモデルでマントル下降流の滞留現象のモデル化の研究を行った。3次元箱型モデルでは、昨年度に開発した3次元矩形領域内のマントル対流シミュレーションプログラムに2つの改良を施した。1つは流体の物性モデルの改良であり、マントル物質の相転移の効果を取り入れることを可能にした。もう1つはマントル対流の流れ場の求解アルゴリズムの改良で、多重格子法とクリロフ部分空間法を組み合わせることにより、粘性率の急激な変化に対する解法の収束性と頑健さをある程度向上させることができた。3次元球殻モデルでは、昨年度は計算コードを安定化有限要素法を用いて実現していたが、計算機資源の限界からこの計算コードでは5×10^4程度のレイリー数のシミュレーションが限界であった。本年度は特性有限要素法を導入し、そのアルゴリズム中の数値積分法を工夫することで、10^8のレイリー数を扱えるようコードを改良し、深さ660km付近の相転移モデルのシミュレーションの準備を行った。2次元スラブ沈み込みモデルでは、昨年度開発したモデルを利用して上盤プレートが自由に運動可能なモデルを構築した。また、本年度は物性をより実験に近づける試みとして、上下マントル境界での粘性率の増加と温度圧力に依存する熱膨張率が滞留スラブ形成に与える影響を調べた。その結果、物性実験で得られているようなOMPa/Kに近いクラベイロン勾配で横たわるスラブが形成される可能性があることがわかった。また、別のコードを用いて様々な粘性構造に対して滞留スラブの数値計算を行い、クラペイロン勾配の値がOMPa/Kに近い条件下で、660km付近でスラブを滞留させるためには、スラブの粘性と下部マントルの粘性の比が重要であることを見出した。
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Research Products
(7 results)