Research Abstract |
KEK/Photon FactoryのビームラインBL-3A,BL-4Cにおいて,(共鳴)X線回折実験を,またSPring-8のBL11XU,BL22XUにおいて,共鳴(非弾性)X線散乱実験を行い,下記の系に関して電子自由度秩序と物性の関連性を明らかにした.一方,新しい試みとして磁性半導体に関する理論を構築した. 1.コバルト酸化物LaCoO_3やSr_3YCo_4O_<10.5>において,そのスピン・軌道状態を調べた.前者に関しては,中間スピン状態に伴う軌道秩序の探索を試みたが,実験誤差範囲で観測されなかった.一方,後者の最低温相においては,軌道秩序を伴う中間スピン状態と高スピン状態が交替していることを明らかにした. 2.幾何学的フラストレーションを内蔵した希土類硼化物HoB_4において,その多極子構造を決定した.また,この系に特徴的な非常に広い散漫散乱を観測し,これは磁気秩序と軌道秩序の競合により生じていることを明らかにした. 3.ペロブスカイト酸化物(Oll)基板上に成長させた(Nd,Pr)_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3薄膜の軌道状態を明らかにし,その軌道秩序形成機構について考察した. 4.擬2次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2I_3において,水平ストライプ構造の電荷秩序状態が実現していることを示し,その金属絶縁体転移機構を明らかにした. 5.透明磁石やスピンエレクトロニクスの材料として近年注目を集めている,遷移金属イオンを含む酸化物等の磁性半導体に関する理論構築を行った.特に,磁性半導体の強磁性発現機構に関する理論構築と,その物性の数値シミュレーション法の開発を行った.
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