2006 Fiscal Year Annual Research Report
光キャリアドーピングによる遷移金属酸化物の物性制御
Project/Area Number |
16076208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣井 善二 東京大学, 物性研究所, 教授 (30192719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 淳 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10209108)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 / ヘテロ接合 / 光キャリア注入 / 光電子分光 |
Research Abstract |
n型チタン酸化物基板とp型遷移金属薄膜からなるpnヘテロ接合において、紫外光照射により起こる光キャリア注入(photocarrier injection : PCI)について研究を行った。特に銅酸化物超伝導体YBa_2Cu_3O_xをNbドープしたSrTiO_3基板上に作製した系において光キャリア注入を行った。YBa_2Cu_3O_xへの注入キャリア密度を増加させるために、YBa_2Cu_3O_x極薄膜(数ユニットセル)への光キャリア注入に取り組み、PrBa_2Cu_3O_x(PBCO)/YBCO/PrBa_2Cu_3O_x多層膜を作製した。しかし残念ながら現時点では光キャリア注入よる明確なT_cの変化は観測されていない。この手法の一つの問題点として考えられるのは、一般に遷移金属酸化物が強相関電子系であり、電子間相互作用のためにキャリアの移動度が小さいことがある。よって、光キャリア注入効果をさらに実証するためにより移動度の高い酸化物薄膜について予備実験を行った。例えば、透明半導体として有名なSnO_2薄膜をTiO_2基板上に作製し、その電気伝導度の光応答性を調べた。SnO_2薄膜は酸素欠損の導入により金属化することが知られている。ある程度、酸素欠損の入った半導体試料において紫外線を照射すると電気抵抗が急激に減少し、興味深いことに、光を切った後も抵抗の低い状態が保たれることが分かった。今後の研究においてこの永続的光誘起伝導の起源を調べる必要がある。一方、光電子分光測定において、ペロブスカイト型マンガン酸化物に紫外光を照射すると,ケミカルポテンシャルが可逆的にシフトする現象を見出し,電子励起によるスピン相関の乱れと解釈した。さらに高温超伝導体のアンダードープ領域で,超伝導ギャップがホール濃度の低下とともに増加しないか減少し,大きく増大する擬ギャップとは異なる振る舞いを見出した.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Photoemission from Buried Interfaces in SrTiO_3/LaTiO_3 Superlattices2006
Author(s)
M.Takizawa, H.Wadati, K.Tanaka, M.Hashimoto, T.Yoshida, A.Fujimori, A.Chikamatsu, H.Kumigashira, M.Oshima, K.Shibuya, T.Mihara, T.Ohnishi, M.Lippmaa, M.Kawasaki, H.Koinuma, S.Okamoto, A.J.Millis
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Journal Title
Phys. Rev. Lett. 97
Pages: 57601
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[Journal Article] Distinct Fermi-Momentum Dependent Energy Gaps in Deeply Underdoped Bi22122006
Author(s)
K.Tanaka, T.Yoshida, K.M.Shen, D.H.Lu, W.S.Lee, H.Yagi, A.Fujimori, Z.-X.Shen, Risdiana, T.Fujii, I.Terasaki
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Journal Title