2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16076209
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 正俊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40092225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室町 英冶 物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, センター長 (30343833)
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Keywords | 超伝導 / 物質開発 / コバルト酸化物 / フラストレーション / 核磁気共鳴 / 中性子散乱 / ソフト化学合成 / 構造解析 |
Research Abstract |
Na_xCoO_2・yH_2Oの超伝導機構の解明と新超伝導物質開発を主目的に研究した。母物質であるNa_xCoO_2や銅酸化物を含めた他の強相関電子を持つ系をも対象にソフト化学処理を含む合成、構造解析、巨視的・微視的物性測定がなされた。 (化学的観点から) ○ソフト化学的合成と化学分析の結果、Na_xCoO_2・yH_2Oが相当量のH_3O^+を含み、組成はNa_x(H_3O)_z(H_2O)_nCoO_2(x【approximately equal】0.35,z【approximately equal】0.16,n【approximately equal】1.14)である。Coの価数はxのみからの値+3.65より小さい+3.4〜+3.5である。 ○従来のP2型Na_xCoO_2・yH_2Oとは異なる積層様式を持つ、新超伝導体P3型Na_xCoO_2・yH_2Oを発見、結晶構造や超伝導特性を明らかにした。超伝導転移温度はP2型と同じ4.6Kである。 ○Na_xCoO_2のx=0.7-0.8で、精密な化学分析と、磁性、電気伝導性、比熱等の物性評価を行い、この物質が電子相関の強い金属であることを示した。 (物性論的観点から) この超伝導は新規なものか、その磁気フラストレーションが、銅酸化物の場合と同様、や縦緩和率、中性子散乱等の微視的手法をも用いた。 ○Na_xCoO_2・yH_2Oでは、結晶軸を揃えた試料を用いてナイトシフトを測定し、クーパー対がsinglet状態にあることをあきらかにした。 ○Na_xCoO_2の常伝導相の物性を研究し、x値が小さな領域でCoが面内で反強磁性的相関を持つ事を明らかにした。また、x=0.5の系に見られる2つの相転移の概容を解明した。 ○perovskite型や類似の構造を持つ酸化物のスピン状態変化がどのような因子に支配されているかを明らかにした。 その他、特異な磁気構造を持つフラストレート系強磁性体の異常ホール効果の研究も進められた。
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