2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16076210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 一良 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70191640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 悦輝 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80181600)
山田 耕作 立命館大学, 理工学部, 講師 (90013515)
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Keywords | エキゾチックペアリング / 磁性超伝導 / フラストレーション / スピン三重項 / 電子相関 |
Research Abstract |
磁気相互作用を媒介とした新たな超伝導発現機構を持つ、スピン一重項d波やスピン三重項状態p波・f波のクーパー対対称性を持ったエキゾチック・ベアリング超伝導体の探索合成・物性評価を行い、その理論的解明を目的に研究を行っている。対象物質としては、幾何学的フラストレート系の三角格子やカゴメ格子を含む層状酸化物や正四面体の頂点共有三次元ネットワークによって形成されているパイロクロア格子を内包した系などを対象に合成・物性評価の研究を行い、以下の成果を得た。水を層間に挟んだコバルト酸化物系で発見されている超伝導体NaxCo02・yH20に関して、核磁気共鳴(NMR)、核四重極共鳴(NQR)測定を詳細に行うことによって、三角格子の磁気相関を媒介した超伝導体であることを実験的に明らかにした。さらにソフト化学の手法を用いてその超伝導転移温度Tcが連続的に変化する試料を合成することに成功し、それらが59Co核のNQRの共鳴周波数νQによって系統的に整理できることを見出し、超伝導・磁気相図を作成することに成功した。その結果、この系の超伝導相は、強磁性的な磁気相の両側に存在していることが明らかになり、超伝導機構が磁気的な相互作用を媒介としている可能性が高いことが明らかになった。また、物性の経時変化を測定することにより、超伝導(2)相→磁性相→超伝導(1)相と連続的に電子状態が変化するリエントラント現象を発見した。その他、(1)三角格子遍歴電子反強磁性体Cr(-Mo, V)B2系の反強磁性状態がスピン密度波状態的な電子状態であることを11B NMR測定によって明らかにした。(2)Ni3Al(遍歴電子強磁性体)やIn3Ce(高濃度近藤系反強磁性体)系を合成し、置換効果やC,B,Si等をその体心位置に導入した系の合成に成功しその量子臨界点近傍の物性を評価した結果、磁場の1/3乗にスケールした磁化の振る舞いや超伝導の発言など異常物性を明らかにした。また、理論的研究においては、超伝導の転移温度を定量的に決定する上で、フェルミ液体論に基づく繰り込みの重要性を明らかにした。それを用いて電子相関の強いLSCOがYBCOよりTc が低くなる理由を説明した。また、典型的な重い電子系の超伝導体CeCoIn5の超伝導機構と対称性、転移温度を理論的に説明した。さらに周期的アンダーソン模型を用いてフェルミ液体論の繰り込みとf-電子のクーロン斥力をきちんと取り扱うことが大切であることを示した。特に磁性についても考察する.(山田)
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Phase Separation and Suppression of Critical Dynamics at Quantumphase Transitions of MnSi and (Srl-xCax) RuO32007
Author(s)
Y. J. Uemura, T. Goto, I. M. Gat-Malureanu, J. P. Carlo, P. L. Russo, A. T. Savici, A. Aczel, G. J. Macdougall, J. A. Rodriguez, G. M. Luke, S. R. Dunsiger, A. Mccollam, J. Arai, C. Pfleiderer, P. Boni, K. Yoshimura, E. Baggio-Saitovitch, M. B. Fontes, J. Larrea, Y. V. Sushko, J. Sereni
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Journal Title
Nature Physics 3
Pages: 29-35
Peer Reviewed
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