Research Abstract |
本年度は,次年度以降の研究展開に必要な研究備品を中心に研究環境の整備を行いつつ,異常な磁気伝導効果を持つ新物質の物性解明に取り組んだ。 寺崎は,秩序ペロブスカイトCaCu3Ru4O12において,Cuの3d電子とRuの4d電子が相互作用することによって価数揺動状態を取ることを見出し,新しいタイプの重い電子系であることを提案した。また,層状コバルト酸化物,層状ロジウム酸化物の熱電特性を調べ,熱電物性における磁気伝導効果を調べた。さらに,電荷秩序の競合が起きる有機導体で,巨大な非線形伝導現象を観測した。まだその微視的機構は明らかではないが,新しい物理現象を予感させる発見であった。この論文はJoural of Physical Society of Japanの2004年12月号で,News&Comments(注目論文)に取り上げられた。 勝藤は,ペロブスカイト型マンガン酸化物薄膜にパルス電場を印加することにより,光学反射率が不可逆的かつパルス電場の正負によって可逆的に変化することを見出した。また,幾何学的にフラストレートした磁性体ZnFe2O4の誘電率の磁場依存性を測定しから,反強磁性揺らぎが低温で成長する様子を明らかにした。 上原は,反強磁性ハーフメタルの開発と超伝導体MgCNi3の研究を行った。特に,新物質Sr2VMoO6の合成に成功し反強磁性ハーフメタルの可能性があることを見出した。また,Mg1-xZnxCyNi3の超伝導相がx-y相図上で強磁性相に隣接している事を磁化測定、μSR実験により指摘した。
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