2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16076213
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺崎 一郎 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30227508)
|
Keywords | 強相関系 / 磁性 / 電気伝導 |
Research Abstract |
本年度の成果を以下に列挙する。 (1) コバルト酸化物やロジウム酸化物のスピン状態と電子輸送特性の関係を調べた。SrYCoOでは磁場誘起のスピン状態転移を発見した。これはコバルト酸化物でははじめて見られた現象である。ロジウム酸化物においてはその低スピン状態が安定であることを利用して, 高い熱起電力が高温まで続くことを実験的に証明した。 (2) 有機導体θ-(BEDT-TTF)2MM'(SCN)4において, 電場中のX線回折を行い, 電流とともに電荷秩序ギャップが抑制されること, それが非平衡状態の超電導ギャップの振る舞いとよく似ていることを指摘し, この系における非線形伝導の微視的メカニズムを提案した。 (3) スピネル型Mn304単結晶において, 磁場印加による誘電率の異方的な変化(2%)を見出し, これがスピンと軌道間の相互作用に基づく磁場によるMn3d電子の軌道方向の制御に基づくことを明らかにした。 (4) La1-xSrxFeO3薄膜において, 電場印加によって電極間に現れた光学反射率の高い部分が不揮発に動き, それが電極間の電気抵抗の変化と相関していることを見出した。これによって, 電気抵抗スイッチングのメカニズムが酸素イオンの動きに由来するものであることを確立した。 (5) アンチペロブスカイト物質群で3番目となる新超伝導体ZnNNi3(Tc〜3K)を発見し, 電気・磁気・比熱の測定を行い超伝導諸パラメータ及びデバイ温度, 電子比熱係数を決定した。その結果この系はκ=17程度の第二種超伝導体で, 異方的な超伝導ギャップを持つ可能性が示唆された。 さらに, NサイトへのCドープを行い, C=0.5%ドープでTcが最大値を持つことを確認した。同時にC=0.5%ドープで常伝導状態での磁化の強磁性的な増強が最大となることを観測し, この結果は超伝導と強磁性相関の密接な関係を示唆していると考えている。
|
Research Products
(7 results)