2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16079102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内本 喜晴 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (50193909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨澤 浩史 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助手 (90263136)
酒井 夏子 産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (30357082)
山地 克彦 産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (60358249)
堀田 照久 産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (80357962)
中山 将伸 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (10401530)
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Keywords | 表面・界面物性 / エネルギー効率化 / セラミックス / イオン結晶 / 燃料電池 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
ナノレベルの構造制御を行ったイオン伝導体と混合伝導体層の界面において、固気反応に及ぼす興味深い効果を解析・設計するためには、作動条件下における界面の局所構造、反応の律速過程とそれが生じる場所、界面における物質輸送などを含めた、ヘテロ接触界面におけるイオン伝導現象に寄与する諸性質の包括的理解が必要である。そこで本研究では、このヘテロ接触界面でのイオン伝導現象の、より直接的な評価手法の開発・確立を目指し、従来用いられてきた電気化学的な測定手法に加え、in situ X線吸収分光(in situ XAFS)、ナノX線吸収分光(nano-XAFS)、二次イオン質量分析(SIMS)による測定手法について検討した。GDC上に作製したLa0.6Sr0.4Co03薄膜電極を用い、SOFC作動条件下におけるその場XAFS測定を行った。800℃、空気中において、-400〜+200mVの電圧を印加した際に得られたCo-K吸収端のX線吸収スペクトルを図2に示す。吸収端位置は、開回路状態に比べ、カソード分極させることにより低エネルギー側に、アノード分極させることにより高エネルギー側にシフトした。この結果は、電圧の印加によりLa0.6Sr0.4Co03薄膜中におけるCoの平均価数が変化していることを示している。一般に、酸化物イオン伝導体上の電極における過電圧は、電極における酸素ポテンシャルの平衡状態からの変分に対応すると考えられている。Co-K吸収端の位置から見積もったLa0.6Sr0.4Co03薄膜におけるCoの平均価数を、印加した過電圧量に相当する酸素分圧に対してプロットしたものを図3に示す。図3には、川田等によって報告されているLa0.6Sr0.4Co03薄膜における平衡酸素空孔濃度から算出したCoの平均価数も合わせて示した。両者の間には非常に良い一致が見られた。これにより、La0.6Sr0.4Co03薄膜電極における過電圧に伴う酸素ポテンシャル変化が、電極内部や電解質/電極界面ではなく、電極/気相界面において生じていること、すなわちLa0.6Sr0.4Co03薄膜電極におけるカソード反応が表面反応律速であることが明らかにされた。これは、高温ヘテロ接触界面はおける反応機構を電子分光によってin situ測定し、明らかにした初めての例である。
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Research Products
(4 results)