2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16079103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比野 高士 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (10238321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 充 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (90144097)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 表面・界面物性 / ナノ材料 / セラミックス / 燃料電池 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続いてヘテロ界面制御に関する研究として二つの課題を行った。以下にそれら二つの研究成果の概要を示す。 電解質/電極界面制御に関する研究においては、昨年度までに厚膜セリア電解質(電解質厚さ0.5mm)を試験試料に使用し、その表面にバリウムセレート膜(膜厚さ15μm)を成長させることによつて、燃料ガスに対するセリアの耐還元力を大幅に改善させることに成功した。本年度はこの手法をさらに薄膜セリア電解質(電解質厚さ数十μm)にも適用することを検討した。電解質にはガドリニウムドープセリア(GDC)、アノードにはニッケル-サマリウムドープセリア(Ni-SDC)、カソードにはストロンチウムドープサマリコバルタイト(SSC)を使用した。また還元抑制膜としてイットリウムドープバリウムセレート(BCY)を選択した。これら電解質、BCY、およびアノードをテープキャスティング法でそれぞれシート化して、アノード30枚、GDC1枚、BCY1枚、GDC1枚の順でそれらのシートを積層した。この積層体を1450℃で焼結させ、アノード支持電解質薄膜を作製し、最後にカソードを焼付けた。その結果、この燃料電池は500-700℃の温度領域で水素燃料によってほとんど還元されることなく、1V近い開回路電圧を発生するまでに至った。また電解質のオーム抵抗もBCY層の挿入によって増大することがなかったため、電圧が高くなった分出力特性を向上させることが可能であった。またその他の特長として、この燃料電池は直接メタンSOFCや単室SOFCでも高出力密度を示すとともに、実用上十分な化学的安定性を有していることも判明した。 新規プロトン導電体を使用した各種電気化学的デバイスの開発では、昨年度までにIn^<3+>ドープSnP_2O_7が無加湿の中温領域で高いプロトン導電率を示すこと、および燃料電池の電解質に適用した場合、最大出力密度が264mW cm^2に達することを報告した。今年度は本燃料電池の特長を活かしてアノードからのPtフリー化を試みた。遷移金属酸化物や炭化物などいろいろな材料を試験した結果、Mo_2CがPt並のアノード分極特性を示し、さらにこの燃料電池が十分高い出力特性を発揮できることも見出した。また、この電解質を使用して酸素過剰雰囲気下でのNOx分解リアクターとガスセンサーの開発も行った。両デバイスで作動極をPtRhBa/Cにした場合、分解反応の電流効率とガス検知の感度がともに最も高くなった。これはBa種が種々の雑ガスからNOxを選択的に吸着し、Rh種がPtのNOx分解反応を促したことに起因していた。ここで、一つの興味深い結果として、NOxガスセンサーがNOとNO2に対してともにポジティブ方向に起電力応答した点である。これは本ガスセンサーがYSZを使用したNOxセンサーと違ってトータルNOxを検知でき得ることを示唆している。
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