2007 Fiscal Year Annual Research Report
ドライプロセスによる高速イオン伝導性ナノイオニクス電解質の創製
Project/Area Number |
16079201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
湯上 浩雄 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (60192803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 伸一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60219110)
井口 史匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00361113)
鶴井 隆雄 東北大学, 金属材料研究所, 産学官連携研究員 (30466578)
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Keywords | プロトン導電体 / リチウムイオン導電体 / 界面応力 / PLD / 導電率エンハンスメント / ナノイオニクス / 固体イオニクス |
Research Abstract |
本年度はBaZrO_3系プロトン導電体及びLi導電性酸化物の薄膜で確認された基板の影響と思われるイオン導電率のエンハンスメントについて多層膜による構造制御,基板依存性の計測を通して検討を行った。 Li_2SiO_3及びLi_2AlSiO_4リチウムイオン導電体をSiO_2ガラス,石英,面方位を変えたサファイア基板上に作製し,その面内方向導電率を評価したところ,明らかな基板依存性が観察された。面内方向にa,cの両軸が存在しているサファイアA面基板を用いて詳細な評価を行ったところ膜厚が50nm付近でa,c軸の導電特性が最も異なり,c軸に沿った方向の導電率はa軸に沿った方向の導電率より高くなった。Liイオンにおける空間電荷層の厚さより50nmは厚く,この現象はアモルファス薄膜の界面近傍が,基板と薄膜間に導入される応力等により構造的変調を受けていることが示唆された。 Y添加BaZrO_3(BZY)とMgO多層膜を作製し,その面内方向導電率を評価したところ,BZY層が9nm以上15nm以下の薄膜において単層膜より一桁程度導電率が向上し,活性化エネルギーが0.1eV低下することが明らかになった。又,400℃以上の高温に加熱すると導電率は低下し,単層膜と同様の導電特性になった。多層膜は単層膜と同じ膜厚においてより大きいロッキングカーブの半値幅を示す。これはBZY層内においてMgO層界面より導入される界面応力が転位等により解放されずに維持されていることを示唆している。400℃以上の温度になると半値幅が小さくなり,応力が転位等の導入により解放された可能性が高い。これよりBZY層内部の応力により多層膜内の導電特性は向上したのだと考えられる。 このように応力はイオン導電体の電気的特性を左右する重要な要素であることが強く示唆される。次年度はこれを踏まえ,界面応力が薄膜に与える構造的な影響を評価していく予定である。
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Research Products
(6 results)