2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子線ホログラフィによるヘテロ界面における内部電場形成過程のその場観察
Project/Area Number |
16079207
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹司 敬義 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 教授 (90125609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 司 名古屋大学, 財)ファインセラミックスセンター・ナノ構造研究所, 主幹研究員 (50399599)
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Keywords | 酸化物イオン伝導体 / 燃料電池 / 電子線ホログラフィ / プロトン伝導体 / 電気二重層 / イオン濃度分布 / その場観察 / ヘテロ接触界面 |
Research Abstract |
本研究は, 高温イオン伝導体をガス雰囲気中で電圧印加、加熱しながら、その内部の電位分布を観察し、ヘテロ接触界面における物理現象の解明およびナノイオニクスデバイスの開発に資することを目的としている。そのため, 昨年度までに電圧導入加熱試料ホルダーの試作と新観察技術の開発, 電子顕微鏡内ガス導入システムの試作、レーザ蒸着装置の導入と、試作薄膜の電解質-電極界面の高分解能観察等を行ってきた。また, 真空中, 室温にてPt電極をつけたGDCに電圧を印加し,内部電位の変化を計測し、真空、室温下における酸素イオンおよび酸素イオン欠陥の不均一分布を可視化した。本年度は、Pt/YSZについて同様の実験を行い、また、加熱による界面近傍内部電位の変化を調べた。 外部電圧印加実験では、界面で負電荷の帯電のようなピークが認められた。この電位の変化につての解析はまだできていないが、GDCが混合導電体であり、焼結法で作製されたものであるのに対し、YSZは酸素イオン伝導体であるとともに、単結晶試料を用いていることも影響しているかもしれない。 加熱実験では、加熱時の静電ポテンシャルは室温時より電子に対して深くなり、高温ほどより深いことがわかった。その理由については、今のところ次のように考えている。当初はYSZのフェルミレベルを電子に対するn型半導体のように考えていたが、フェルミレベルがバンドギャップより下側にあるp型半導体だと考えると、加熱することによりフェルミレベルがギャップの中央に近づきそれとともにエネルギーバンドの湾曲も大きくなってくる。従って、高温になるほどバンドの湾曲が大きく、内部のエネルギー順位、そしてそれを反映した内部電位がより深くなってくるものと理解できる。しかし以上の考え方は、あくまでも本実験の結果だけに基づくもので、より正しい理解のためには、エネルギーバンドの直接的な計測等他の手法もあわせたより詳細な研究が必要である。
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