2005 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションによるナノイオニクス現象の解明
Project/Area Number |
16079209
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
下條 冬樹 熊本大学, 理学部, 助教授 (60253027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安仁屋 勝 熊本大学, 理学部, 教授 (30221724)
渡邉 聡 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (00292772)
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Keywords | ペロブスカイト型酸化物 / 分子吸着 / 表面再構成 / 第一原理 / シミュレーション / 水素 / ナノ材料 / 燃料電池 |
Research Abstract |
本年度は、(1)ペロブスカイト型酸化物表面の分子吸着過程およびプロトン吸収機構、(2)電荷誘起系における局所欠陥構造とイオン伝導の第一原理計算による解明、(3)イオン伝導性ガラスにおけるイオン輸送・ガラス構造・結合性・ナノスケールの不均一性の3つの研究テーマに重点的に取り組み研究を推進した。主な研究成果は以下の通りである。 (1)SrTiO_3のTiO_2(001)およびSrO(001)表面に対して、水分子を導入して動的シミュレーションを行い、水分子の吸着過程におけるイオン配置の時間変化を追跡した。その結果、TiO_2面の表面Tiの直上、酸素の表面欠陥の位置、およびSrO面の表面酸素位置が水分子の吸着サイトであることがわかった。吸着過程におけるイオン間の結合状態の時間発展を解析すると、分子内の酸素がOH結合とTiO結合を切り替えることにより解離吸着が起きている。 (2)本特定領域研究の計画研究(ス)寺部グループのAg/Ag_2S接合系を具体的な対象として取り上げ、予備検討としてバルクAg_2S内でのAgイオンの拡散障壁とAg/Ag_2S/Ag接合系における電子透過スペクトルを調べた。トンネル効果によりフェルミ準位近くの透過率が有限な値になることを見出した。これは、微細化した原子スイッチの場合にはイオン伝導だけでなく電子伝導が重要になることを示唆する。 (3)第一原理シミュレーションを用いて、超イオン導電体Ag_2Se中でのイオン輸送およびアモルファスCu_x (As_2S_3)_<1-x>の電子状態の研究を行った。また、経験的モデル計算により、Ag_2O-B_2O_3系ガラスの熱力学的性質、AgI_<1-x>Cl_x中のイオン輸送現象、AB型二元化合物の結合性、液体Ag_<2+δ>Sにおける集団運動等を調べた。
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