2008 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションによるナノイオニクス現象の解明
Project/Area Number |
16079209
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
下條 冬樹 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60253027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安仁屋 勝 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30221724)
渡邉 聡 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00292772)
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Keywords | プロトン / ペロブスカイト型酸化物 / 分子吸着 / 表面 / 界面 / 第一原理 / シミュレーション / ナノ材料 |
Research Abstract |
1. 気体/金属電極/酸化物の三相界面における分子反応過程 酸化物SrTiO_3と金属Pt電極の両方の表面が露出するように接触させた三相界面モデルを用いて第一原理分子動力学計算を行い、三相界面における分子反応機構を調べた。金属表面から酸化物側ヘプロトンが移動するためには酸化物表面上の余剰酸素が重要な役割を果たすことを明らかした。また、酸化物表面における多数の水分子の吸着過程を系統的に調べ、水分子の動的性質と酸化物表面との相互作用の関係を解明した。これらの成果は、燃料電池電極における効率的な分子吸着反応過程を考える上で重要である。 2. 金属-イオン伝導体接合系におけるイオン挙動および電圧印加効果の解析 Ag/Ag_2S/Ag接合系のモデルに対して第一原理計算を行い、Ag_2S層内に化学量論比よりも過剰にAg原子を導入することによる構造および電気特性への影響を明らかにした。また、Pt/ZrO_2界面近傍のポテンシャルプロファイルを計算し、電子線ホログラフィによる観察結果を定性的に説明した。これらの成果は、原子スイッチのスイッチング機構を微視的に理解する上で極めて重要である。 3. 種々の超イオン伝導体やイオン伝導性ガラスにおける輸送現象と構造の不均一性 種々の現象論的モデルを用いて、過冷却液体における物質の緩和現象、ガラスが有する中距離構造と交流イオン伝導度の関係、イオン伝導と熱膨張係数の関係等を解明した。これらの成果はナノイオニクス系の基礎物性を理解する上で重要な意義を持つ。
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