2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト化学的方法によるナノイオニクスバルク体の創製
Project/Area Number |
16079210
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 利之 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主席研究員 (80343854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YARONG WANG 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 特別研究員
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Keywords | 燃料電池 / ナノ構造化 / ナノ構造解析 / バルク固体 / 酸化物イオン伝導体 / マイクロドメイン / 高温ナノイオニクス / ヘテロ界面 |
Research Abstract |
本研究では、従来あまり検討されてこなかったDyドープCeO_2系固体電解質をとりあげ、ナノ粉末の合成と、得られたナノ粉末を用いた焼結体の特性及び、特性とナノ構造の相関関係について検討を行った。 沈殿剤にヘキサメチレンテトラアミン(HMT)を用いた共沈法により、沈殿を作製し、得られた沈殿を100℃の温度において2時間の水熱処理を施した後に300℃の温度において空気中で焼成することで、粒子径が15-20nmの凝集のきわめて少ない球状ナノ粒子を合成することに成功した。 このようにして得られたナノ球状粉末を用いて、焼結体の平均粒径が100nmから1ミクロンまでの緻密焼結体(相対密度:95%以上)を作製した後、導電率と平均粒径の関係を検討した。その結果、平均粒径300nm以下において直流法において測定した導電率が急激な増加を示した。この傾向を他のドープドセリアにおいても確認するべく、沈殿剤に炭酸アンモニウムを用いてGdドープCeO_2ナノ粉末を作製して同様な導電率の焼結体平均粒子径の影響を観察したところ、いずれの試料も500nm以下の粒径において導電率の向上が認められたが、その変化は、Dyドープセリア>Gdドープセリアの順になっていた。この理由を考察する為に、微細構造をTEMにより観察したところ、パイロクロア型のマイクロドメインが観察された。こうした異なるマイクロドメインの生成やその大きさの変化が、500nm以下の粒径を有する焼結体では重要になるものと考察した。中・低温領域で高い出力を生む燃料電池用薄膜固体電解質では、薄膜中の粒径がこうした領域の大きさになることから、ナノサイズの粒径、導電率及びナノ構造の関係を精査することが、今後重要になるものと考察した。来年度かちは、ドープドセリアに加えて、プロトン伝導性を示すバリウムセレート化合物についても同様な合成・評価・解析実験を行う予定である。
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