2005 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト化学的方法によるナノイオニクスバルク体の創製
Project/Area Number |
16079210
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 利之 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主席研究員 (80343854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DING Rong Ou 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 特別研究員
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Keywords | 燃科電池 / ナノ構造化 / ナノ構造解析 / バルク固体 / 酸化物シオン伝導体 / マイクロドメイン / 高温ナノイオニクス / ヘテロ界面 |
Research Abstract |
高性能ナノイオニクスバルク固体の創製を行うためには、原子レベルにおける微細構造の詳細な解析と、イオン伝導特性を向上させるために必要な、ナノレベルにおける微細構造の創製をいかに行うかが重要な課題となる。 こうした課題を達成する目的で、それまであまり検討されてこなかったジスプロシム(Dy)ドープセリア(CeO_2)系固体電解質作成用のナノ粉末合成、ナノ構造化固体電解質作成のための通電焼結法の利用、及び得られた焼結体の燃料電池用固体電解質としての可否の検討を行った。 炭酸塩共沈法により、平均粒径30ナノメーターの球状ナノ粒子の合成に成功し、このナノ粒子を用いて、通電焼結法により、理論密度の95%以上の密度をもつ焼結体を作成した。 通常、3価カチオンを固溶したセリアの高密度化を通電焼結法により行うことは難しいとされていた。それは、1200℃以上の温度で、通電焼結環境下において、セリアが還元され割れてしますからである。しかし、本研究のナノ球状粒子は1200℃以下の温度で高密度化することから、通電焼結法を用いることでも高密度化に成功した。また、この通電焼結を施すことで、導電率は最大で2桁向上した。なかでもDy_<0.15>Ce_<0.85>O_<1.925>の組成を持つ通電焼結体は、セリア系で最も高い導電率を有するとされるGd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>同等の導電率を示すことが確認できた。 こうした焼結体の微細構造を透過型電子顕微鏡(TEM)により詳細な観察をおこなった結果、通常の常圧焼結体内に見られた10ナノメーターを越える酸素欠陥が秩序化した領域(マイクロドメインと呼ぶ)は、2ナノメーターまたはそれ以下になっていた。また、通電焼結体は10^<-20>気圧の酸素分圧まで、大気中と同じ導電率を示すことも確認した。以上の結果から、ナノレベルの組織制御により、燃料電池に利用可能な高性能固体電解質の作成が可能になった。
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Research Products
(6 results)