2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト化学的方法によるナノイオニクスバルク体の創製
Project/Area Number |
16079210
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 利之 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 副センター長 (80343854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 清 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 主任研究員 (90357020)
OU Ding-Rong 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 特別研究員 (20450299)
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Keywords | 燃料電池 / ナノ構造化 / ナノ構造解析 / バルク固体 / 酸化物イオン伝導体 / マイクロドメイン / 高温ナノイオニクス / ヘテロ界面 |
Research Abstract |
高性能ナノイオニクスバルク固体の創製を行うために必要な、原子レベルにおける微細構造の詳細な解析と、ナノレベルにおける微細構造の最適化によるイオン伝導特性の大幅な改善を目指した前期3年間の課題のまとめとして、ドープセリア系固体電解質中に広がるナノサイズのマイクロドメイン中の詳細な構造の解析を、Yドープセリア、Ybドープセリア、Dyドープセリアを中心に行った。 マイクロドメイン中の構造解析には、高分解能TEMとTEM-EELSを用いて、マイクロドメイン内部の元素分布と酸素欠陥の秩序化度合いを詳細に検討し、また、導電率向上との因果関係を考察するべく、静的格子内点欠陥計算法(Static latticc point defect calculation)を用いて、マイクロドメイン内部からその周囲に及ぶ酸素欠陥構造の変化と空間電荷層のひろがりの変化に関する予備的計算を行った。 高分解能TEM像のイメージ解析からは、マイクロドメイン内部に秩序化した酸素欠陥構造があることが確認され、TEM-EELSの元素分析からは、マイクロドメイン内部にドーパントが2から3atm%程度、ドメイン外部に比して高濃度に偏在していることが分かった。また、同じくTEM-EELSの酸素Kエッジスペクトルの解析から、導電率の高い試料はど、マイクロドメイン内部の酸素欠陥の秩序化度合いは大きいが、サイズは小さく、このことが、酸化物イオン導電特性と大きく関係していることが示唆された。この考察をより明確にするために、マイクロドメイン内部の酸素欠陥構造と空間電荷層の変化に関するシミュレーションを開始し、マイクロドメイン内部に特有の酸素欠陥構造があり、マイクロドメイン外部にも欠陥構造の秩序化の影響が広がっている可能性を見出した。以上の結果は、「ナノ構造制御によるマクロ特性の設計」が可能であることを示唆するものと考察した。
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Research Products
(6 results)