2008 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト化学的方法によるナノイオニクスバルク体の創製
Project/Area Number |
16079210
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 利之 National Institute for Materials Science, 燃料電池材料センター, 副センター長 (80343854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEI Ye 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 研究員 (10450298)
|
Keywords | 燃料電池 / ナノ構造化 / ナノ構造解析 / バルク固体 / 高温ナノイオニクス |
Research Abstract |
「ソフト化学的方法によるナノイオニクスバルク体の創製」研究を発展させるべく、3次元バルク固体体中に埋もれたナノ構造が、酸化物イオン伝導及び燃料電池特性に与える影響を、系統的に検討し、かつ理論的な解析を行うことで、新しいナノイオニクス分野の発展に資する材料設計手法の確立を行うことを目的に研究を行った。特に、ナノヘテロ構造の役割を明確にし、ナノ領域で起こる現象や構造の変化が、マクロ特性であるイオン伝導特性や燃料電池特性に与える影響を、定量的に評価するべく、これまで同様、注意深いナノ構造と物性の相関性を検討することに加えて、シミュレーションによる理論的解析を行い、ナノイオニクス効果の明確化を行うことを目的として実験を行った。 平成20年度の成果として、これまで行ってきたTEMによるナノ構造解析結果をまとめ、新たな材料科学の基盤を明確に形成するために、ナノスケールで、ドープドセリア焼結体中に現れる、マイクロドメイン内酸素欠陥構造及びマイクロドメイン間酸素欠陥構造のシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、モット・リトルトンのTwo Phase Region法を用いて、電子回折パターン中に現れる短距離秩序構造を反映した散漫散乱や、エクストラ・リフレクションを計算により求め、実際の実験結果と比較、検討した。その結果、マイクロドメイン内では、鎖状酸素欠陥クラスターが、高密度で集合した形をとり、一方、マイクロドメイン間では、小さな非鎖状酸素欠陥クラスターが点在する形をとる、ヘテロクラスターモデルを用いて計算することで、実験結果と極めて良い一致を見た。以上、示したように、一貫して、3次元バルク固体中の、酸化物イオンの拡散現象に与える、実際のナノヘテロ構造の影響を精査し、理論的考察を加えることで、新たなナノイオニクス材料科学の基盤となる、さまざまな知見を明らかにすることに成功した。
|