2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプローブ加工技術を用いたナノイオニクス素子の開発
Project/Area Number |
16079211
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
寺部 一弥 National Institute for Materials Science, ナノシステム機能センター, 主席研究員 (60370300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノシステム機能センター, グループリーダ (50354345)
長田 実 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質センター, 主幹研究員 (10312258)
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Keywords | ナノイオニクス / 混合伝導体 / ナノワイヤ / 固体電気化学 / 近接場顕微鏡 / ラマン分光 / 原子操作 / ナノプローブ |
Research Abstract |
イオン伝導体(混合伝導体を含む)と電極との界面においてイオンと電子のやり取りをナノスケールや原子スケールで制御できれば、ナノスケールでの特異な性質を利用した新たなナノ・イオニクス・デバイスやセンサの創製が期待される。本研究課題では、近年進歩が著しいナノプローブ技術等を用いて、ナノスケールでイオン伝導体や電極を構築して、そのナノ界面でのユニークなイオンや電子の動きを利用した新規素子の開発を目指す。我々は、多孔質アルミナをテンプレートに利用したイオン伝導体ナノワイヤの作製法を開発して、Ag_2S/Ag,AgI/Ag,CuS/Cu組成のヘテロ接合ナノワイヤを作製およびその特性評価を行ってきた。これまでに、ナノワイヤ構造にすることにより特異な界面構造や高いイオン伝導性が生じることを明らかにした。本年度は、特異な界面構造の詳細を明らかにするため、分解能約30nmの近接場ラマン分光法を利用してアルミナテンプレートとイオン伝導体Ag_2Sナノワイヤとの界面における局所構造を調べた。その結果、直径100nmサイズのAg_2Sナノワイヤはコア・シェル構造をしており、アルミナテンプレートとの界面付近(厚さ約30nm)は乱れた結晶構造の層であり、中心付近はAg_2Sの低温相構造であることがわかった。直径サイズを50nm、30nmと減少させたAg_2Sナノワイヤでは、全て乱れた構造をしていることを見出した。これは、アルミナテンプレートとの界面影響が約30nm程度であるために、サイズの小さなナノワイヤでは、すべての領域で界面効果の影響が現れたためと考えられる。この界面効果は、アルミナテンプレートから受ける応力歪が原因と考えられた。また、応用展開として、Ag_2SナノワイヤあるいはAg針の硫化処理によって作成したAg_2S針をトンネル顕微鏡探針に用いて、適切な電圧およびトンネル電流を印加することによって探針から基板上への銀原子付与の技術開発を行った。
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