2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソルボサーマル反応による希土類系物質のパノスコピック形態制御と光機能の発現
Project/Area Number |
16080201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 次雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90091694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
殷 しゅう 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (40271994)
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Keywords | 希土類系物質 / パノスコピック形態制御 / 紫外線遮蔽剤 / 酸化セリウム / ソルボサーマル反応 / 酸化カルシウム固溶 / シリカ被覆 / 光触媒活性 |
Research Abstract |
現在広く利用されている有機系紫外線吸収剤は人体への吸収により健康被害が懸念されることから、安全性の高い新規紫外線遮蔽材料としての利用が期待されている酸化セリウムについて、ソルボサーマル反応による化学組成および形態制御を行い、ナノサイズの酸化カルシウム固溶酸化セリウムを合成するとともに,それらの光触媒活性評価を行なった。酸化カルシウム固溶酸化セリウムナノ粒子は、現在紫外線遮蔽剤として利用されている酸化チタンや酸化亜鉛と比較して、優れた紫外線吸収能と可視光透明性を有するとともに、光触媒活性および一重項酸素生成活性が著しく低く、人体に対する安全性に優れていることを明らかにした。また、珪酸ナトリウム水溶液の酸加水分解によるヘテロ凝集およびアンモニア触媒を利用するシリコンテトラエトキシドの加水分解(シード重合)により酸化カルシウム固溶酸化セリウムナノ粒子表面にシリカナノ薄膜を被覆したコアシェル型ナノ複合材料を作成し、パノスコピック形態制御による特性改善について検討した。いずれの方法でもシリカは酸化セリウムと化学的相互作用により表面に強固に結合していた。なお、珪酸ナトリウム水溶液の酸加水分解によるシリカ被覆では反応中に酸化カルシウムの一部が溶出したが、アンモニア触媒を利用するシリコンテトラエトキシドの加水分解では、酸化カルシウムの溶出は認められず、しかも均一なシリカ被覆が可能であったことより、より効果的に酸化セリウムの酸化触媒活性を低減できることを明らかにした。これにより、人体に安全でかつ優れた紫外線遮蔽能を示す新規高性能紫外線遮蔽剤の設計指針を得ることができた。
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