2004 Fiscal Year Annual Research Report
パノスコピック形態制御希土類系磁性体における粒間磁気相互作用の電子論的研究
Project/Area Number |
16080203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 昭正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30361124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土浦 宏紀 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30374961)
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Keywords | 希土類系磁性体 / 3d遷移金属系磁性体 / 局所密度汎関数法 / 交換相互作用 / 磁気的相互作用 / 保磁力 |
Research Abstract |
磁性材料において、結晶粒界がその軟磁気・硬磁気特性に支配的な役割を果たすことはよく知られる通りである。特に希土類金属間化合物永久磁石材料の保磁力は結晶粒界の性質に強く依存すると考えられており、結晶粒界の構造と結晶粒間の磁気的相互作用の微視的理解と制御は磁気特性の向上において重要である。更に、この結晶粒の微細化と他の物質とのハイブリッド化は、これらが持つ本来の物性またはそれらの平均化された特性とは異なる新たな材料特性を生み出す可能性を秘めており、現在様々な材料系で活発な研究が行われている。これらは、結晶粒径の減少とともに系全体に占める粒界の割合が増大するため、特性に対する粒間の相互作用の影響が大きくなり、新たな特性として顔を出すためと解釈される。希土類金属間化合物と軟磁性体の複合ナノ結晶粒を用いた交換スプリング磁石と呼ばれる磁性材料は、粒間の実効的な交換相互作用の増大による残留磁化の増大を狙って提案された材料である。 これら磁性材料の結晶粒間の磁気的相互作用を電子論的立場から捉え、物質の個別性を考慮して定量的に把握することは、ナノ材料が示すマクロな特性の理解と向上に不可欠である。そこで本研究は、希土類系及び3d遷移金属系磁性体の結晶粒間磁気的相互作用を電子論的立場から定量的に評価し、ナノスケールでパノスコピック形態制御された高機能磁性材料の設計指針を提供することを目的とする。本年度はその第一段階として、希土類金属間化合物の一つであるRCo_5(R=Y)を取り上げ、局所密度汎関数法^<1,2)>のに基づく電子状態の第一原理計算から、そのバルク状態での磁気モーメントとモーメント間の交換相互作用エネルギーの評価を行い、実測値との比較を行った。その結果,磁気モーメントおよび交換相互作用の計算値から見積もられる磁気転移温度は実測値とよい一致を示し、本手法の妥当性が確認された。
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