2005 Fiscal Year Annual Research Report
パノスコピック形態制御希土類系高次機能磁性体の高周波・高磁場磁気共鳴
Project/Area Number |
16080204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 宏朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40177465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 佳一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70302205)
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Keywords | Nd-Fe-B焼結磁石 / 保磁力 / 強磁場中熱処理 / 強磁性共鳴 / 結晶場 / 界面異方性 / パノスコピック / 希土類 |
Research Abstract |
Al,Cuの有無を変えて作製したDy10wt.%のNd-Dy-Fe-B焼結磁石について,140kOeの強磁場中で低温熱処理を行ない,保磁力H_cの変化を詳細に調べた.その結果以下のことが明らかになった. 1.Cuを添加していない試料A, Bでは,H_cの絶対値が最大26kOe程度と小さく,磁場による顕著なH_c上昇は観測されない. 2.Cuを添加した試料C,Dにおいては,特にRCモードのとき,H_cが最大36kOe程度と大きな値を示す. 3.磁場効果については,Cuのみを添加した試料CではT_a=475〜485℃のとき,CuとAlの両方を添加した試料DではT_a=550℃のときにそれぞれ磁場中保磁力比FCRが10%以上となり,顕著であることがわかった. 4.減磁曲線の形状を整理した結果,磁場を切ってから冷却した場合(ZFCモード)の方が,磁場中で冷却した場合(FCモード)に比べて角型性が良好であった. 5.DSCの測定から,Cu添加の試料では500℃以上でNd-Cu液相が粒界に存在することを示唆した. 6.交流磁化率の測定からスピン再配列転移温度を決定し,主相中のDy濃度は仕込み値である10wt.%よりやや少ないこと,従って,Nd-rich相中のDy濃度は高くなっていることを示唆した. 7.Dyを含むNd-rich相の磁化率の見積もりを行ない,Cu添加の試料で観測された磁場効果の起源を,粒界のNd-Cu液相中でのNd-rich固相の配列と関連して考察した. 本研究は,Nd-Fe-B系焼結磁石における強磁場プロセスの保磁力に与える影響を調べる一連の研究の一環であり,確定的な結論を得るまでに今後さらなる実験的・理論的検証が必要である.特に大きなFCRを示す試料で微細構造観察を行い,磁場効果による保磁力の変化と粒界相の構造の因果関係を明らかすることを計画している.
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Research Products
(4 results)