2006 Fiscal Year Annual Research Report
溶液錯体化学法による希土類物質のパノスコピック形態制御
Project/Area Number |
16080206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 聡 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (10162364)
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Keywords | 溶液錯体化学法 / 希土類物質 / パノスコピック / 形態制御 / 蛍光体 |
Research Abstract |
チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタルは水に溶かす事が困難であるので、これらの元素を含む機能性材料を合成する際には、有機溶媒もしくは強酸性溶液を用いる必要があった。産業界では、水を溶媒とするプロセスの構築を可能にする、これら金属を含む水溶性金属錯体の開発が強く望まれていた。そこで本研究では、これら金属の水溶化を可能にする新しい親水錯体化技術の開発、新規水溶性金属錯体単結晶育成と構造決定、水を溶媒とするグリーンプロセスによるナノ光結晶の合成と評価を目的とし、以下のような研究を実施した。 (1)チタン、ニオブおよびタンタル金属の親水錯体化技術の開発 チタン金属粉末をアンモニア存在下、過酸化水素水で処理すると水溶性チタンペルオキシ酸が得られるが、これは不安定であるので、クエン酸や乳酸あるいはグリコール酸を添加して安定化させる。また、五塩化ニオブまたは五塩化タンタルをメタノールに溶解させた後、アンモニア水を添加して析出するニオブ酸あるいはタンタル酸を過酸化水素水及びクエン酸などのヒドロキシカルボン酸で処理することにより水に安定に溶けるニオブまたはタンタルの錯体を得ることに成功した。 (2)水溶性チタン及び水溶性タンタル錯体の単結晶育成と結晶構造解析 チタンにグリコール酸とペルオキシ基が配位したチタン4核錯体及びタンタルに乳酸とペルオキシ基が配位したタンタル2核錯体の単結晶の育成に成功し、その構造の詳細を明らかにした。 (3)水熱法による酸化チタン多形の選択的合成 水溶性チタン錯体を含む水溶液を様々な条件で水熱処理することにより酸化チタン結晶の多形を選択的に合成することに成功した。チタンのクエン酸錯体からはアナターゼ型酸化チタンを、またチタンのグリコール酸錯体からは、溶液のpHを1、5、10と変えることにより、それぞれTiO_2(B)型、ルチル型、ブルカイト型酸化チタンを合成できた。
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