2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16080208
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河合 啓一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00002064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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Keywords | 希土類元素 / Ce / Bradyrhizobium属 / ラムナン / 微生物 / マウス / Sm化合物 / 経口摂取 |
Research Abstract |
1.微生物に及ぼす影響 希土類元素はエレクトロニクス産業、自動車工業、情報産業などのハイテク産業や医療分野にとって不可欠な元素となっている。本研究では、微生物に及ぼす希土類元素の影響について検討した。土壌系及び水系試料から、Ce存在下でコロニーの周囲に粘性物質を生産している細菌を分離した。この細菌は、16S rDNA解析結果及び菌学的特徴からBradyrhizobium属と同定された。粘性物質はCe, La, Pr, Ndなどの軽希土類元素に加え、マンニトール存在下でも生成された。Ceあるいはマンニトール存在下で生産された粘性物質の構造は、機器分析結果から、ともにラムナンと推定され、その結合部位として1,4-位、1,3-位及び1,2,4-位の結合がおよそ6:1:3の割合からなることが示唆された。 2.哺乳類に及ぼす影響 Smには自然放射性核種である^<147>Smが15%ほど含まれており、体内・被ばくが起こる可能性があるため、経口摂取によるSm化合物の生体影響を検討した。ICR系雄性マウスにSm化合物として、酸化物、塩化物及び合金を用い、5%グルコース溶液に懸濁または溶解し、0.3mL/匹宛強制胃内投与した。投与量はSmとして1回に3mg(100mg/kg体重に相当)とし、1日おきに3回投与した。肝、腎、脾、肺、骨(下肢)、および尿と糞のSm濃度を測定した。体重、臓器重量への影響はなかった。投与後3週間ではSmCl_3群とSm_2O_3群のSm濃度は1/2〜1/10に減少し、体外へ排泄されると考えられた。尿中Sm濃度は対照群で約0.1ng/mL程度であるのに対し、SmCl_3群は3〜7倍高く尿中への排泄が示されたが、他の化合物では対照群との差は明らかでなかった。糞中Sm濃度もSmCl_3群の投与開始2週間後で対照群の2〜3倍高い値を示した。経口摂取したSm化合物は塩化物では僅かに体内に吸収されるが、酸化物は非常に吸収されにくく、また合金は殆ど吸収されなかったことから体内蓄積はおこりにくい。
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