2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16080208
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河合 啓一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00002064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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Keywords | 希土類元素 / 微生物 / Nevskia ramosa / Eu / 増殖促進 / マウス / Sm_2O_3 / 暴露実験 |
Research Abstract |
1)微生物に対する影響 Eu存在下でコロニー径が拡大したEU-2株の菌学的特徴及び16S rDNAの系統解析及び本菌株が菌塊形成能を示したことから、N.ramosa EU-2と同定した。30μM希土類元素含有1/100肉汁寒天培地にて本菌を30℃、10日間培養しコロニー径を測定したところ、Euで1.3倍、Gdでは1.8倍拡大した。その他の元素では影響がないか、阻害的に作用した。生体関連元素では、コロニー径の拡大は認められなかった。以上の結果はEU-2株の増殖にEuとGdが特異的に作用していることを示している。軟寒天培地を用いて、EU-2株め運動性とEuとの関連を調べた結果、Eu無添加時に比べ添加時に大きなコロニーを形成したことから、スウォーム形成能を有することが分った。同液体培地で培養したところ、Eu添加時に生菌数が10倍ほど増加し、液体培養においてもEuは本菌株の増殖を促進した。Eu無添加の場合に生菌数の測定値に大きなバラツキが認められたが、これは5〜10個ほどの細胞が菌塊を形成しているためであった。 2)マウスに対する影響 雄性マウスを吸入暴露装置にて、Sm_2O_3を濃度15mg/m^3にて5日間/週、1日7時間の条件で1週間または4週間暴露した。1週間暴露では体重に異常は見られず、対照群と有意差は認められなかった。尿量は対照群に比べ1.2〜1.6倍ほど多かったが、腎障害の可能性は低かった。4週間暴露中体重は特に変化は認められなかったが、暴露終了後幾分増加抑制が見られた。飼育日数がさらに経過すると再び対照群と同程度になった。4週間暴露翌日の臓器重量は肺、脾臓、腎臓が増加、精巣は減少する傾向を示した。HE染色した肺切片に炎症は見られなかった。透過型電顕観察において、肺胞内や間隙に微粒子が認められ、EDX分析においてこの微粒子中にSmのピークが検出された。以上、Sm_2O_3の毒性は低いものの、微粒子が一部肺に取り込まれることから、長期暴露の生体影響が考えられる。
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