Research Abstract |
(1)微生物への影響 Nevskia ramosa EU-2株はEu添加により生菌数が著しく増加する。培養液の顕微鏡観察から,Eu添加時ではほとんどの細胞が遊走細胞であったが,Eu無添加時では3〜10個の細胞が凝集体を形成していたことから,Euがこの凝集体形成を阻害していることが分かった。また,接着物質はグルコースを主成分とする多糖であった。Sphingomonas sp.EU-3株は,La無添加培地では,増殖が最高生菌数に達した後直ちに死滅期に入り,コロニー形成能の喪失が見られたが,La添加培地では最高生菌数に達した後生菌数は一定となり、定常期が認められた。また,Mn添加時にも同様の現象が観察された。Streptomyces coelioolar A3(2)の抗生物質生産に及ぼすScの効果を調べたところ、Scの添加により抗生物質生産が促進されることが分かった。 (2)マウスへの影響 希土類化合物の生体影響を明らかにするために,吸入暴露したサマリウム化合物微粒子の体内挙動を追跡した。雄性マウスに吸入暴露装置でSm_2O_3を1日7時間,1または4週間吸入させたところ,4週間暴露で体重増加抑制及び肺重量の増加が認められた。暴露終了翌日の肺中Sm濃度は,それぞれ50,120μg/gで,暴露期間に対応した。さらに,4週間経過すると1/5〜1/2に低下し,肺に取り込まれたSmは時間と共に肺から消失することが分かった。非常に低濃度ながら,肝>腎,脾>精巣の濃度順でSmが取り込まれ,暴露期間に対応し,暴露終了後減少した。下肢頚骨にもSmが暴露期間依存的に取り込まれることが分かった。他臓器と異なり,暴露終了翌日に比べ4週間後に濃度が増加することから,血流を介してSmの一部が骨に移行すると考えられた。肺には明らかな炎症等の変化は認められなかったが,4週間暴露では吸入粒子が肺胞内や間隙に取り込まれることが電顕像から分かった。
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