2004 Fiscal Year Annual Research Report
希土類添加ガラスのパノスコピック配位子場制御による光増幅器材料の開発
Project/Area Number |
16080209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田部 勢津久 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (20222119)
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Keywords | 光ファイバ / 光通信 / 光増幅器 / 4f電子 / レーザ / 希土類 / エルビウム / 蛍光スペクトル |
Research Abstract |
光通信におけるエルビウム(Er)ドープ光増幅器は、信号光強度を千倍一万倍に増幅することができるため、波長分割多重技術との融合により、今日の通信情報量の大容量化を可能とした、革新的なデバイスである。通常のガラス中のErイオンの増幅波長帯域は、1.53〜1.56μmであり、更なる通信の広帯域化には、伝送用光ファイバの損失がある程度低い波長で動作する増幅器材料の開発が必要である。本年度は、近赤外発光材料としてのErドープガーネット結晶に着目し、光通信用Uバンド(波長1.625〜1.675μm)光アンプ材料としての応用可能性について検討した。固相反応により作成した各種Erドープガーネット結晶(多結晶体)について常温〜15Kにおける発光スペクトル測定を行い、その結果、ホスト組成Y_3ScAl_4O_<12>(及びY_3ScGa_4O_<12>)のサンプルにおいてブロードな1.6〜1.7μm帯発光が得られることを示した。Uバンドの様な長波長用Erドープアンプの場合、特に1.6μmより長波長側の領域では、発光始準位(^4I_<13/2>)から第三励起準位(^4I_<9/2>)への信号光励起状態吸収(Signal-ESA)により、発光バンドが存在しても増幅利得が得られないことがある。そこで、精密な光物性評価と遷移確率の定量的見積のために、イメージ炉を用いたフローティングゾーン法によりErドープガーネット単結晶を作成し、その吸収スペクトルについてピーク解析及びJudd-Ofelt解析を行うことで、Signal-ESAの帯域及び強度について評価を行った。その結果、Signal-ESAによる増幅利得の低減は起こりうるが、完全にキャンセルされることはないことを明らかにした。 以上、本年度は、次世代大容量光増幅器デバイスのための、新しい固溶体結晶材料の設計を行い、実際に単結晶の作成を行い、その精密な光物性評価を行った。
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Research Products
(7 results)