2004 Fiscal Year Annual Research Report
高次構造による電子状態と波面の制御を利用した高機能希土類発光体の開発
Project/Area Number |
16080219
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
栗田 厚 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70170082)
|
Keywords | 蛍光体 / 希土類イオン / 光反応 / 2段階励起 |
Research Abstract |
発光体の光波面の制御を、希土類イオンの光反応によって行なうことを目指し、フォトンゲート効果、または励起光強度に対してsuper-linearな依存性を持つ光反応や蛍光を示す希土類材料を探索している。希土類イオンの中で、Pr^<3+>は、Pr^<3+>:YAGの^3H_4→^1D_2遷移などでフォトンゲートが観測されている。本研究では、Pr^<3+>を添加した酸化ケイ素系単結晶において光反応が起こることを新たに見出し、しかもその蛍光強度と光反応速度が励起光強度に対して非線形に変化することを明らかにした。試料としては、チョコラルスキー法によって作製した単結晶を用いた。励起光強度を変えた場合の発光強度の変化を測定した結果、両者の関係は線形ではなく、発光強度は励起光強度の約1.7乗に比例していた。また、強い586nm光を照射しながら、598nm付近の発光強度の変化を観測した結果、発光強度はしだいに減少し、光反応が起きていることがわかった。途中、一旦照射を止め、しばらく経ってからまた照射を始めると、減少していた発光強度は少し回復した。これは、この光反応には少し戻りがあることを示している。照射光強度を変えた場合の光反応速度の変化は、照射光強度を1/2倍にした結果、反応速度は1/3から1/4に減少し、発光強度と同じく、照射光強度に比例していない。これは、光反応が3PO励起状態から4f5d状態への2段階励起を経て起きているためと考えられる。この研究結果を踏まえ、光反応の機構や発光過程、その励起強度依存性の原因を明らかにする研究を続けている。
|