2007 Fiscal Year Annual Research Report
高次構造による電子状態と波面の制御を利用した高機能希土類発光体の開発
Project/Area Number |
16080219
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
栗田 厚 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (70170082)
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Keywords | 蛍光 / 希土類 / 固相反応 / 結晶構造 / 不純物 |
Research Abstract |
希土類イオンや遷移金属イオンを発光中心とする蛍光体は、不純物を加えて作製すると、発光強度が顕著に増加する場合があることが知られている。Y_2O_3:Eu^<3+>蛍光体においては、ZnO、MgOなどの不純物を加えると、蛍光強度が増大するが、それらの原因はわかっていない。そこで、その機構を明らかにするために、焼成によって試料を作製し、さまざまな測定を行ってきた。その結果、Y_2O_3:Eu^<3+>にZnOを加えた場合は、ZnOがEu^<3+>のY_2O_3への添加を促進する効果があることがわかった。今年度は、立方晶または単斜晶の結晶構造をとるGd_2O_3を母体としたGd_2O_3:Eu^<3+>蛍光体に、ZnOを付加し、その母体結晶の構造によるZnOの効果の違いについて調べた。Gd_2O_3は、室温では立方晶が安定であり、市販の粉末は立方晶であるが、1500℃で焼成すると単斜晶となる。試料は、Gd_2O_3(単斜晶または立方晶)、Eu_2O_3(単斜晶または立方晶)とZnOの粉末を混合し、空気中、1200℃で焼成して作製した。出発原料の結晶構造の違いによるZnO付加の効果を明らかにするため、異なる量のZnOを加えた試料に対し、発光スペクトル測定、X線回折測定を行った。その結果、単斜晶のGd_2O_3に単斜晶Eu_2O_3を加えた場合の発光強度の増大は、Y_2O_3の場合と同様に、ZnOによってEuの添加が促進されたためであることを明らかにした。一方、立方晶のGd_2O_3に1mol%の単斜晶Eu_2O_3を加えた場合は、ZnOの添加によって、立方晶から単斜晶への結晶構造の変化が見られた。ZnOを加えない場合でも、高濃度のEu_2O_3を添加すれば単斜晶への変化は起きるが、Eu_2O_3濃度を301mol%にしても、Eu_2O_31mol%、ZnO5mol%の場合よりも変化は少ない。また、ZnOのみを立方晶のGd_2O_3に加えた場合は、単斜晶への変化は起きない。したがってこの場合も、ZnOはEu_2O_3の効果を増大させる働きがあることが明らかになった。
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