2004 Fiscal Year Annual Research Report
パノスコピック形態制御された希土類系酸化物固体電解質の創製と応用
Project/Area Number |
16080220
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
棚瀬 繁雄 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門・電池システム連携研究体, 主任研究員 (20357461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 美喜男 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門・電池システム連携研究体, 主任研究員 (00356528)
境 哲男 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門・電池システム連携研究体, 体長 (20357081)
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Keywords | 希土類 / 酸化物 / 固体電解質 / セラミックス / 酸化セリウム / 酸化ジルコニウム / 電池 / 応用 |
Research Abstract |
導電性、電極との両立性、資源や価格などの点で優れているセリア系材料の機械的強度や耐還元性の改良を目的にSDC(Samarium Doped Ceria)とYSZ(Yttria Stabilized Zirconia)との複合系焼結体を検討した。SDCは20mol%のSmイオンを含む硝酸塩水溶液から共沈法で作製し、他方、YSZは3mol%のY_2O_3で部分安定化されたTZ-3YS(東ソー(株)製)を用いた。 これらの粉体を所定割合に秤量・混合し、得られた粉末を金型入れて加圧成形した。成形体の寸法と質量からグリーン密度を求めた後、電気炉により高温で焼成した。得られた焼結体のかさ密度は、蒸留水中のアルキメデス法により測定した。また、ダイヤモンド研磨盤により表面を研削・研磨した、焼結体のビッカース硬度(Hv)及び破壊靱性(Kc)を測定した。その後、焼成より50℃低い温度で熱エッチングを行った研磨面をSEMで観察することにより、粒子構造やビッカースクラックの進展状況を調べた。 緻密な焼結体を得るため、高速回転の遠心力を利用する粉体水スラリーの遠心成形法を試みた。粉体と少量の結合剤(ポリビニルアルコール)を添加したスラリーを円筒型の容器に入れ、遠心機で高速回転させた。上澄みの水を捨てた後、室温で乾燥し、成形体を得た。 SDCとYSZの複合をより精密に制御する目的で、上記のSDC粉体を少量のPVAとともに水に分散し、噴霧乾燥し造粒した。得られたSDC造粒粉とYSZ粉末(東ソー(株)、TZ-8Y、造粒済)を所定量秤量して、V字形混合機で混合し、金型を使って成形し、電気炉で焼成した。得られた焼結体について、X線回折(結晶相の同定)、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、EPMA(構成元素の面分析)等を行った。 上記の検討の結果、SDCとYSZの複合系については、SDC及びYSZ単味に比べてグリーン密度は上昇するが、焼結性は低下することが分かった。他方、ジルコニアとの複合化によりセリアの硬度や破壊靭性は改良されることが分かった。更に、遠心成形法が密度の高い焼結体を得るのに有利であることが分かった。また、造粒粉については混合法の制御により焼結体のマクロレベルでの形態制御が可能であることが分かった。 上記の研究成果については、口頭発表等を行い、成果の普及に努めた。
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