2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16081209
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 研三 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (90127978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 興一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80363323)
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Keywords | 素粒子論 / 統一理論 / 超対称性 / 高次元時空 |
Research Abstract |
●非コンパクト世代間対称性SU(1, 1)を用いたカイラル3世代物質場を実現する理論において、ダウン型クォークと荷電レプトンの質量項の階層構造の違いが、新たなヒッグス多重項を取り込むことにより、理論の一般的枠組みを壊すことなく自然に実現されることを示した。 ●またこの模型におけるstrong CP問題の考察をとおして、SU(1, 1)を自発的に破るスカラー場の真空期待値の位相について強い制限が課され、CKM行列の位相とも関連しうることを示した。 ●レプトンの世代混合角はTri-bimaximal型と呼ばれる特徴的な構造で非常に良く近似される。レプトンの質量行列がカスケード型と呼ばれる形状である場合について、もたらされるさまざまな現象(フレーバーの破れやバリオン数生成等)の解析をおこなった。 ●低エネルギー(電弱相互作用)の領域で、ゲージーノ質量が縮退している現象は、これまでに考慮されて来なかった新たな超対称性の観測可能性を生む。超共形変換のアノマリー効果が存在する系において、縮退が実現する一般的な条件を導出し、その力学的実現を超重力理論の枠組みで議論した。 ●ニュートリノの世代混合の実験値は、世代空間において整列した真空構造を強く示唆している。これに対し、高次元空間における境界条件を用いた真空整列の新しい機構を提唱した。これまでの4次元における複雑なポテンシャル構成を必要とせず、かつ余剰次元空間の無矛盾条件から、真空整列の方向も少数に限られる可能性を指摘した。
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