2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムシグナリングにおける細胞内ナノシステムの統合
Project/Area Number |
16083206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00292730)
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Keywords | カルシウム / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生体分子 / ナノシステム |
Research Abstract |
本研究においては、様々な生理機能の制御に役立っているカルシウムシグナリングについて解析し、どのように細胞内のカルシウムの時空間的特長が解釈され下流の分子群を制御するのかについて明らかにする。この目的のため、本年度においては今後の研究遂行に必要な予備的実験や材料の整備を中心に研究を遂行する計画であった。カルシウム依存性のシグナル分子の可視化法については、カルシウム・カルモジュリン依存性であるミオシン軽鎖キナーゼの活性をモニターすることができる実験系を目指した。ミオシン軽鎖はリン酸化依存性に構造変化を起こすと考えられ、その構造変化を蛍光によって検出することができれば、ミオシン軽鎖キナーゼの活性をリアルタイムにモニターすることができると考え、ミオシン軽鎖にGFPのバリアントであるECFPおよびCitrineを融合させた蛋白質であるCRCit(ECFP-RMLC-Citrine)を作製した。CRCitをラット血管平滑筋初代培養細胞に発現させ、分化を誘導すると、CRCitの蛍光が線維状に認められ、CRCitはミオシンに正しく取り込まれることが確認された。さらに、CRCit発現細胞をアゴニスト、イオノマイシンによって刺激するとCFPとcitrine間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)効率が変化することが観測された。これらのFRET変化はリン酸化を阻害することによって消失し、FRET変化が確かにリン酸化を反映することが示された。以上の結果からCRCitは生きた細胞内でミオシン軽鎖キナーゼの活性をリアルタイムでイメージングすることができるプローブであり、カルシウムシグナルによる制御様式を今後解明していく上で有用なツールとなると考えられる。
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Research Products
(5 results)