2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムシグナリングにおける細胞内ナノシステムの統合
Project/Area Number |
16083206
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
廣瀬 謙造 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00292730)
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Keywords | カルシウム / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生体分子 / ナノシステム |
Research Abstract |
本研究においては、様々な生理機能の制御に役立っているカルシウムシグナリングを中心としたナノシステムについて解析し、どのように細胞内のカルシウムの時空間的特長が解釈され下流の分子群を制御するのかについて明らかにすることを目的としている。平成17年度においては、特に中枢神経シナプスにおけるカルシウムシグナリングに焦点を当て、研究を行った。シナプス前終末に活動電位が伝わると膜電位依存性カルシウムチャネルが開口し、カルシウム濃度が上昇する。このカルシウム濃度上昇によって、シナプス伝達物質の放出や一酸化窒素の生産が誘発されることが知られている。そこで、これまでに開発した一酸化窒素(NO)の可視化蛍光プローブであるHBR-GFPを用いて、平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるNO動態を解析した結果、NOの拡散は平行線維入力箇所のごく近傍の微小領域に限局していることが明らかとなった。また、平行線維刺激によるポストシナプスにおけるカルシウム応答とNO応答の空間的広がりについて比較解析することによって、NOシグナルはカルシウムシグナル同様の空間的広がりを持つことが明らかとなり、NOシグナルもシナプス特異性のある細胞内応答であることが示唆された。さらに、NOの空間限局性の意義についても解析を行った。一箇所でLTP誘導刺を与え、刺激部位から様々な距離離れた部位でLTP誘導の有無を調べた結果、わずか10μm離れるとLTPの誘導の程度は激減し、20μm以上の部位ではLTPはまったく起こらないことを見出した。さらに、わずかに離れた場所で誘発されるLTPは刺激される神経線維のオーバーラップによることが示された。これらの結果はNOの限局性がシナプス特異的なLTP誘発を制御するのにきわめて重要であることを示唆する。
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Research Products
(3 results)