2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイニン・ナノシステムの運動と制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
16083207
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
大岩 和弘 独立行政法人情報通信研究機構, 基礎先端部門生体物性グループ, グループリーダー (10211096)
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Keywords | 一分子計測(SMD) / 生物物理 / ナノマシン / ナノバイオ / 分子モーター |
Research Abstract |
本研究課題では、生体ナノシステムとしてのダイニンの運動発生機構とその制御機構の解明を目指している。生理学的溶液下のダイニンに対して、単一分子計測を基本とした高精度な機能計測を行なう。そして、ATP加水分解に伴う構造変化と力・運動発生との相関と制御の機構を分子レベルで明らかにするために、蛍光標識したタンパク質単一分子の配向を溶液中で直接決定する蛍光顕微鏡技術やタンパク質フィラメントに沿って形成される力学ポテンシャル場をサブナノメートル精度で測定する新たな計測技術の開発を進めている。 平成17年度においては、研究材料となる軸糸ダイニンの精査を進めた。クラミドモナスの内腕ダイニン亜種のなかで、ヘテロ2量体を形成しているダイニンfを標的とすることとして、単一分子計測に必要な実験要素を整備した。また、その運動制御機構を調べるための予備的実験を行なった。ダイニンfの138K中間鎖(IC138)は、生体内でカゼインキナーゼ1によりリン酸化を受け、これが鞭毛軸糸内でダイニンfの滑り運動を抑制する。電子顕微鏡による観察から、IC138リン酸化によってこの制御機構に関連するダイニンf重鎖の構造変化があるという予備的実験結果を得た。ショ糖密度勾配遠心法によって、リン酸化に伴うダイニンfの構造変化に対応するStokes半径の減少を確認した。また、このダイニンの運動特性評価の運動計測において、安定して強い蛍光を発するQ-dotを位置分解能を向上させる目的で導入した。Q-dotのダイニンfへの吸着はQ-dot表面電荷による吸着と、抗体を介した吸着の両者を検討した。いずれの方法でもダイニンの蛍光修飾が可能であることが分かり、計測上の双方の利点を有効に用いることとした。このように、ダイニンfを用いた単一分子計測用in vitro運動アッセイ法の構築を進めた。
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Research Products
(2 results)