2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイニン・ナノシステムの運動と制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
16083207
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
大岩 和弘 独立行政法人情報通信研究機構, 第一研究部門 未来ICT研究センター バイオICTグループ, グループリーダー (10211096)
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Keywords | 一分子計測(SMD) / 生物物理 / ナノマシン / ナノバイオ / 分子モーター |
Research Abstract |
単一蛍光分子配向計計測装置の確立と生物実態を用いた計測:ダイニンの運動を高精度・高速で測定できる蛍光分子の配向測定システムを用いて、内腕ダイニンfにおける運動について詳細な測定を試みた。また、ダイニンfの遺伝子配列を元にペプチド合成を行ない、これに対する抗体を準備。この抗体はα鎖とβ鎖を区別できることを確認した。この成功によってダイニンfの運動機構解明のための測定を可能とした。 ダイニンの構造解析:クライオ電子線トモグラフィーを用いてクラミドモナスの鞭毛軸糸の3次元再構成を行ない、45Åの分解能でダイニン外腕と微小管の複合体の三次元構造を再構成した。ダイニン腕を形成する3つの重鎖は、積みあがった3枚の平板として観察された。2層目では隣接するダイニン外腕をつなぐ構造が確認され、協同的作動機構の構造的基盤を与えているものと考えられた。 クラミドモナス鞭毛軸糸のX線回折による構造解析:生理的条件において微細な構造解析が可能であるX線回折を用いて、鞭毛軸糸の構造およびダイニン腕の構造変化の解析を進めた。流動配向法により鞭毛軸糸を配向、微小管チューブリン分子の構造周期4nmの反射まで明確に得ることができた。野生株と鞭毛構造の各種変異株との比較によって、スポーク、中心鞘、ダイニン由来の反射を確認。この帰属によって、ヌクレオチド状態によるダイニン外腕の動きが明らかになってきた。 ダイニンによる微小管すべり運動によって生じる自己組織的2次元パターン:軸糸ダイニンを用いたin vitro運動アッセイにおいて、動的構造として微小管の束が形成され、さらにその束からリング状のパターンが形成されることを発見。リングのサイズは平均で直径400-500μm。nmサイズのダイニン分子がμmサイズの微小管と相互作用によってmmスケールの構造を作り上げる自己組織化現象を確認。
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Research Products
(6 results)