2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダイニン・ナノシステムの運動と制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
16083207
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
大岩 和弘 National Institute of Information and Communications Technology, 第一研究部門・未来ICT研究センター・バイオICTグループ, グループリーダー (10211096)
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Keywords | 一分子計測(SMD) / 生物物理 / ナノマシン / ナノバイオ / 分子モーター |
Research Abstract |
1.クライオ電子顕微鏡によるダイニンとダイニン腕の3次元構造の解明:クライオ電子線トモグラフィーを用いてクラミドモナスの鞭毛軸糸の3次元再構成を行なった。従来の電子顕微鏡像では重なり合って識別不可能だったダブレット微小管とダイニン外腕の構造をトモグラムで抽出することができた。さらにダイニン外腕-微小管複合体の三次元像の位置あわせを行い平均像を計算,像のS/N比を向上させ,45Åの分解能でダイニン外腕と微小管の複合体の三次元構造を再構成した。3つのダイニン重鎖は,それぞれのリング状頭部を微小管長軸に沿って平行に積みあげたように観察された。2層目では,隣接するダイニン外腕との連絡が確認され,協同的作動機構の構造的基盤を見出した。この成果J.Mol.Biol.に掲載され,その表紙を飾った。 2.クラミドモナス鞭毛軸糸のX線回折による構造解析:生理的条件における鞭毛内部の構成要素の空間的配置をX線繊維回折を用いて解析した。流動配向によって鞭毛軸糸試料を配向させることに成功,放射光X線を用いて,これから明瞭な子午線反射を観測した。クラミドモナスの変異株を用いて子午線反射を構造要素へ帰属できた。 3.鞭毛軸糸ダイニンの滑り運動の単一分子計測:ヘテロ2量体で存在するダイニンfに関して,in vitro運動アッセイと蛍光単一分子を用いた運動解析を進めた。ダイニンfが負荷依存的に微小管からの解離速度を上昇させることを示唆するデータを得て,鞭毛軸試内での集団特性を考える上で重要な知見を得た。この成果はBiophys.J.に掲載された。 4.新規蛍光性ATPアナログの開発:リボースの水酸基を修飾して蛍光団を縮合させた蛍光ATPアナログ,Cy3-AMP-PNPを合成し,これをF1-ATPaseの単一分子運動解析に用いた。関連成果は学術誌Cellに掲載された。
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Research Products
(15 results)