2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイニン・ナノシステムの運動と制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
16083207
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
大岩 和弘 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センター, センター長 (10211096)
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Keywords | 一分子計測(SMD) / 生物物理 / ナノマシン / ナノバイオ / 分子モーター |
Research Abstract |
1. 鞭毛軸糸ダイニンの滑り運動の単一分子計測 : ヘテロ二量体ダイニンfの二つの重鎖αとβの生化学的・構造学的特性を調べ、その特性に大きな差があることを明らかにした。また、ダイニンf各重鎖の欠損軸糸の運動解析からは、このダイニンfが外腕ダイニンの運動活性の調整をも行なっていることが明らかになった。重鎖の協同性について、エバネッセント光蛍光励起システムによる単一蛍光分子観察技術により検討、ダイニンfの連続運動性を明らかにするとともに、1次元単純拡散運動や障害物による運動方向転換など、多様な運動様式を持つことを観察した。 2. クラミドモナス鞭毛軸糸の構造解析 : 生理的条件下でのダイニンやその他の軸糸内構成物の正確な配置を同定するために、鞭毛のX線繊維回折実験を実施。流動配向により配向した軸糸から4nmを超える空間分解能で回折像を獲得。軸糸構成要素欠損株の軸糸のX線回折像を撮像・比較、反射への各構成要素の寄与を同定して正確な周期構造を明らかにした。Ca^<2+>を加えることによる外腕ダイニン由来の反射とラジアルスポーク由来の反射の変化から、これらの構造周期の変化を初めて検出した。また、鞭毛軸糸のクライオ電子線トモグラフィーから内腕ダイニンの配置を明らかにして、モノマーである内腕ダイニンは軸糸内ではdiad構造をとっていることを明らかにした。 3. ダイニンによる微小管すべり運動によって生じる自己組織的2次元パターン : 軸糸ダイニンを用いたin vitro運動アッセイにおいて、動的構造として微小管の束が形成され、さらにその束からリング状のパターン(直径400-500μm)が形成された。この全く新しい自己組織化現象の数理モデルの構築に成功した。
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Research Products
(20 results)