2006 Fiscal Year Annual Research Report
核膜孔複合体の分子動態と核-細胞質間タンパク質輸送制御
Project/Area Number |
16084204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 悦啓 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80191667)
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Keywords | 核膜孔複合体 / ヌクレオポリン / 核蛋白質輸送 / 分子イメージング / 核構造 / Ran / 細胞分化 |
Research Abstract |
本研究課題では、細胞核の重要な高次構造の1つである核膜孔複合体に焦点を当て、この複合体の重要な機能である核-細胞質間蛋白質輸送の制御を指標にして、その分子構築ならびに分子動態を明らかにすることを目的とする。本年は、核膜孔のダイナミックな動態を解析するための実験系として、主として細胞分化の観点からの研究を進めてきた。具体的には,筋芽細胞であるC2C12細胞や未分化ES細胞を用い、細胞を未分化状態で増殖を続けさせた場合と分化誘導させた場合とで比較した場合、核膜孔複合体がどのように変化するか、また、変化するのであれば、その動態を個々のヌクレオポリンに着目して解析するとともに、発現量、局在が変化するヌクレオポリンがあるかどうかを網羅的に解析を進めた。その結果、C2C12細胞を血清除去により筋細胞に分化させた場合、ヌクレオポリンの1つであるNup358の局在が、核全体から核膜孔部分に大きく変化することが明らかとなった。この時、同時に、蛋白質の核外輸送に関わる因子であるCrm1も核膜孔に強く局在することがわかった。現在、Nup358の核膜孔局在に必須のドメインを同定し、その部分のみを過剰発現させた場合、Nup358の局在が変化するか、変化するのであれば、筋細胞分化にどのような影響が現れるかを解析している。また、Crm1による核外輸送に変化があるかを解析している。一方、未分化ES細胞に分化を誘導して、いくつかのヌクレオポリンに対する抗体を用いて、その局在変化、発現量変化を解析したところ、Nup62が、未分化状態ではほとんど核膜に局在しているにも関わらず、分化に伴って核内、特にヘテロクロマチン領域に局在するようになることが明らかとなった。未分化ES細胞が分化するに際し、クロマチンの凝集が進むと考えられており、その制御にNup62が関与する可能性が示唆され、興味深い成果である。
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Research Products
(13 results)