2007 Fiscal Year Annual Research Report
核スペックルの機能と分子構築:mRNAのスプライシングと核外輸送における役割
Project/Area Number |
16084206
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷 時雄 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80197516)
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Keywords | mRNA / 核スペックル / 蛍光イメージング / SF2 / スプライシング因子 / 阻害化合物 / poly A^+RNA / 放線菌培養上清 |
Research Abstract |
核スペックルは転写やスプライシングなど遺伝子発現の連携機構において重要な機能を担っている核内構造体である。核スペックルの形成を阻害する天然化合物を分離することを目的として、スプライシング因子SF2の核スペックル局在に影響を与える放線菌培養上清のスクリーニングを昨年度に引き続き進めた。また、poly A+mRNAの核スペックル局在阻害を示す培養上清についても、2016種類の放線菌培養上清について蛍光イメージングによりスクリーニングした。その結果、核スペックルからSF2やpoly A+mRNAが拡散する、核スペックルの形状が肥大化するなど、核スペックル形成に様々な影響を与える培養上清を十数種類同定した。得られた培養上清を液体クロマトグラフィーなどで分画し、核スペックル形成阻害活性を示す化合物を精製した。それらの化合物の構造解析の結果、核スペックルヘのSF2分布が大きく拡散し核小体までSF2が分布する変化を示した培養上清1871-62aの活性化合物は、PKC阻害活性を持つstaurosporineであることが明らかとなった。SF2のリン酸化が阻害されることで、SF2の核スペックル分布に異常が生じたと推定される。1871-62aはClk遺伝子などにおけるエキソンスキッピングを伴う選択的スプライシングを阻害する。そのような選択的スプライシング阻害はStaurosporineによる効果であると結論された。また、核スペックルの肥大化を生じさせる培養上清1884-4についても、同様に活性画分の精製を進めたところ、活性化合物はActinomycin X2もしくはActinomycin Z4 である可能性が示された。現在、その他の核スペックル形成阻害培養上清についても活性化合物の精製と同定、及び標的因子の解析を進めている。
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