2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネの窒素情報伝達と代謝に関わる未熟非緑色器官におけるプラスチド機能の解明
Project/Area Number |
16085201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山谷 知行 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (30144778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 俊彦 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (60261492)
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Keywords | イネ / グルタミン情報伝達 / 窒素転流 / プラスチド機能 / 遺伝子破壊 / グルタミン合成酵素 / QTL解析 / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
イネにおける窒素転流は、成育や生産性に直接関わる。老化器官からの窒素転流と、若い器官における窒素再利用に関わる高次機能に焦点をあて、特にグルタミンを情報物質とした情報伝達系の分子実体の解明と、個体としての窒素利用効率向上戦略に関わる高次機能発現の分子基盤を確立することを目的に、本年度は以下の成果を得た。 1)Glnセンサー機能が期待されるACR7とACR9の機能解析 ACR7タンパク質の若い葉身維管束柔細胞での核膜局在や、分子シャペロンHSP18.0-CIIタンパク質との相互作用などに関して、PCPに報告した(Hayakawa et al.2006)。同様に若い葉身で転写産物蓄積量が多いACR9は、核の可溶性画分に局在することを確認した。ACR9の機能解析を進めるにあたり、等温滴定カロリメトリーによるGln結合能の評価やRNAiノックダウンイネの作出を開始した。 2)OsGS1;1遺伝子破壊変異体のトランスクリプトーム解析 イネの老化器官からの窒素転流に重要な機能を持つと考えられるサイトゾル型グルタミン合成酵素遺伝子の中で、特に葉身で発現が高いOsGS1;1遺伝子破壊変異体の解析結果を昨年報告した(Tabuchi et al.2005)。今年度はこの変異体を用いて、トランスクリプトーム解析拠点の支援を受け、解析を進めた。シロイヌナズナとは異なり、発現量の増減した遺伝子のアノテーションが容易ではなく、解析に時間を要したがこれらの遺伝子群を整理した。 3)新規OsNADH-GOGAT2とOsGS1;3の発現解析 ゲノム情報から新規に見いだされたNADH-GOGAT2のcDNAを単離した。NADH-GOGAT1と極めて類似したタンパク質であり、トランジット配列の類似性から、本タンパク質もプラスチド/葉緑体に局在しているものと考えられた。OsNADH-GOGAT1の未熟器官での特異的な発現とは異なり、OsNADH-GOGAT2は成熟葉身や葉鞘で主に発現が観察された。 穎果特異的に発現するOsGS1;3に関して、発芽過程での発現様式をプロモーター::GUSの形質転換種子で観察した。OsGS1;3は吸水前から主にアリユーロン層で発現しており、OsGS1;2の胚盤での発現とは異なっていた。
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Research Products
(5 results)