2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体品質管理による植物細胞機能分化の制御-有性生殖を中心にして
Project/Area Number |
16085202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 周一 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10252222)
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Keywords | 小胞体 / 分子シャペロン / 品質管理 / 有性生殖 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
小胞体におけるタンパク質の品質管理は、高次構造形成に失敗した異常タンパク質が小胞体から先のコンパートメントに送り出されることを防ぎ、細胞の機能維持に重要な役割をはたしていると考えられる。われわれは、小胞体品質管理において中心的な役割をはたしている小胞体の分子シャペロン、特にHsp70ファミリーのBiPおよびそのパートナーである小胞体Jタンパク質の変異株が、有性生殖過程、その中でも配偶体形成に欠損を示すことを見いだした。シロイヌナズナには、BiP1、BiP2、BiP3という3つのBip遺伝子が存在する。前年度までに、共焦点顕微鏡を用いた解析によって、BiP1とBiP2両方を欠損すると、雌性配偶体形成時の極核融合が欠損し、雌性配偶体致死となることを見いだした。本年度は、これが核膜融合の過程の欠損であることを電子顕微鏡解析によって示し、これまで出芽酵母でのみ報告されていたBiP依存の核膜融合がシロイヌナズナにも存在することが示された。また、この過程には小胞体Jタンパク質であるAtERdj3AとAtP58^<IPK>がBiPのパートナーとして機能していることを明らかにした。本研究ではまた、植物細胞における小胞体品質管理の解析系の構築も行った。小胞体品質管理では、小胞体に蓄積した異常タンパク質は小胞体関連分解(ERAD)とよばれる機構で分解される。植物細胞における新規ERAD基質として、AtCPY*-GFPを構築した。解析の結果、AtCPY*-GFPはN結合型糖鎖を1つ持つが、これはAtCPY*-GFPのERADには必要ないことが示された。また、酵母とは異なり、シロイヌナズナにおけるAtCPY*GFPのERADには小胞体-ゴルジ体間の輸送を必要としないことが示された。
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