2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物の重力感受と形態に関連した液胞機能を支える分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
16085205
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森田 美代 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (10314535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 昌生 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90179680)
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Keywords | シロイヌナズナ / 重力屈性 / 遺伝学 / 小胞輸送 / 液胞 |
Research Abstract |
我々は高等植物の環境適応戦略の一つである重力屈性の分子機構について、シロイヌナズナを用いた分子遺伝学的なアプローチを中心に研究を進めてきた。その過程で、2つのSNARE蛋白質(ZIG/VTI11,SGR3/SYP22)が関与するエンドソームを介する液胞への小胞輸送及び液胞膜蛋白質(SGR2)が支える液胞機能が、重力感受に必要であることを明らかにした。本研究では、液胞やそれに至る輸送系が、どのようにして重力屈性や形態形成などの高次機能に関与するのか、より具体的に分子レベルで理解することを目的としている。今年度は次のような研究を行った。1)zig-1の表現型をほぼ完全に抑圧する優性のサプレッサー変異zip1は、ZIG/AtVTI11のホモログAtVTI12におきたアミノ酸置換変異であることを突き止め、zip1変異がzig-1を抑圧する分子メカニズムを詳しく解析し、論文として発表した.また、zip2,zip3変異体も単離し、マッピングにより原因となる候補遺伝子を発見した。現在詳しい解析を行っている。2)sgr2の原因遺伝子は液胞膜及び液胞前区画に局在するphospholipase A1-likeタンパク質をコードする。sgr2もzigと同様に液胞動態やその機能を介して重力感受に関わると考えられる。SGR2の局在と期待される分子機能から,膜の組成を変化させることで液胞への小胞輸送あるいは液胞膜動態の制御に関わるのではないかと考えている.SGR2の分子機能と重力感受との関係を遺伝学的に解く目的で,sgr2の重力屈性を抑圧するサプレッサー変異体(krt171)の単離・解析を行った.現在、マッピングにより変異を発見した遺伝子について、詳しい解析を行っている。3)Somerville教授らとの共同研究により、重力屈性異常変異体sgr8/grv2の解析を行った。また、SGR8/GRV2が線虫やショウジョウバエでエンドサイトーシスに関わるとされるRme-8のホモログをコードすることを明らかにし、論文として発表した。
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