2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16085206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鹿内 利治 九州大学, 農学研究院, 助教授 (70273852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 善親 九州大学, 農学研究院, 教授 (90087594)
津山 孝人 九州大学, 農学研究院, 助手 (10380552)
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Keywords | 葉緑体 / RNA編集 / 電子伝達 / 環境適応 / 遺伝子発現 / 遺伝学 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
葉緑体は独自のゲノムを持つオルガネラであり、その遺伝子発現様式は原核生物のものに似る。葉緑体遺伝子の発現調節は、一旦葉緑体が分化すると主に転写後のRNA成熟化過程で制御される。RNA編集は高等植物では、葉緑体とミトコンドリアで頻繁に起こり、RNA上の特定のシチジン残基をウリジンに置換するものである。高等植物のRNA編集に関わる装置は明らかになっていなかった。我々は昨年度、シロイヌナズナのcrr4変異株の解析から、葉緑体のRNA編集にPPRタンパク質が関わることを明らかにした。crr4は葉緑体において光化学系Iサイクリック電子伝達に関わるNDH複合体に欠陥を持つ。crr4では、複合体のサブユニットをコードする葉緑体遺伝子ndhDの開始コドンを作るRNA編集が特異的に阻害されていた。PPRタンパク質をコードする遺伝子は、シロイヌナズナで450もの巨大なファミリーを形成し、オルガネラのRNA成熟に関わると考えられている。我々の結果は、葉緑体のRNA編集のサイト認識には、PPRタンパク質が関与していることを示唆していた。本年度は、CRR4の組換えタンパク質を大腸菌で可溶性タンパク質として発現させることに成功した。さらにこの組換えCRR4が、ndhD開始コドン付近の数十塩基からなるRNA(RNA編集サイト認識のシス配列)に特異的に結合することを生化学的に証明した。この成果により、葉緑体RNA編集の認識にPPRタンパク質が関わることが、遺伝学的、生化学的に示された。CRR4がRNA編集に必須なシチジンデアミナーゼの活性を持つとは極めて考えにくく、PPRタンパク質がいまだ実体の分からないシチジンデアミナーゼを編集サイトに呼び込むという編集装置の二成分モデルを提唱する。現在、デアミナーぜ活性をになうタンパク質を遺伝学的に同定することを目指している。
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Research Products
(4 results)